ウランガラス研索日記
Uranium Glass Search Diary Part 8 (2020)

Last Update Oct 16, 2020



ウランガラス ギャラリー Uranium Glass Gallery(⇒生産国別)

ゴブレット Goblet











タンブラー Tumbler

























ロック グラス Rock Glass





ショット グラス Shot Glass







カップ Cup



スプーン立て Spooner



ノン ウランガラス ページ Non Uranium Glass Page
ネオジウムガラス、マンガンガラス、カリガラス、蛍光ガラス




新聞の記事 で関心のあったウランガラスをたまたま手に入れたことからウランガラスを研索(「けんさく」は「研」究と検「索」からの造語)することとした。対象は使って楽しめるグラス類とし、その記録を「ウランガラス研索日記」としてまとめることとした(2010.12.11)。また、情報収集のため、ウランガラス同好会 に入会する(2010.12.13)と共に、Uranium Glass Antenna を作成した(2011.1.1)。

ウランガラス はボへミア(現在のチェコ共和国)の Franz Xaver Anton Riedel フランツ・クサファー・アントン・リーデル(1782−1844)によって開発され、1830年代には量産されていたとされる。また、珍しい蛍光色と二色性を持つ、もっとも有名なウランガラスの名称も、リーデルによるもので「アンナゲルプ Annagelb 」(アンナの黄色)と「エレオノーレングリュン Eleonorengrun」(エレオノーラの緑)は、フランツ・リーデルの二人の娘 Anna Maria Theresa Riedel と Eleonora Riedel にちなんで名づけられたとされている。

ウランガラスの魅力 はその妖しい色合い。一般にみられるのは、イエロータイプ(米国ではワセリンガラス Vaseline glass と呼ばれている)かグリーンタイプ であるが、その中間の色合い、また、ブルーブラウン(琥珀色)タイプ、さらにはルビナ ベルデ(Rubina Verde) のような赤系のタイプもある。ウランガラスはブラックライト(紫外線)を当てると緑色の蛍光を発する。したがって、光線中の紫外線の量によって蛍光の発光量が変化するので妖しい色合いとなる。

ウランガラスは蛍光灯下でみるのがよい。蛍光灯からは紫外線が出ているので、室内でも妖しい色合いが醸しだされる。イエロータイプは蛍光灯の下では緑がかってみえ、グリーンタイプ はグリーンがさらに鮮やかにみえる。また、ブルータイプ は緑がかってやさしい水色にみえる。さらに琥珀色タイプ では琥珀色とグリーンが混ざりこの上もない美しさがある。この妖しい美しさがウランガラスの魅力である。

ウランガラスの収集をはじめてから1年近く経過して、玉石混交ではあるが、ようやくコレクションらしくなってきたので、「ウランガラスギャラリー」 をページに追加した。なお、ギャラリーは、ゴブレットタンブラーロックグラスショットグラスカップスプーナー などに分けて、写真(96X127)のみを掲載し、この写真からそれぞれのグラスのページにリンクすることとした(2011.11.28)。また、生産国別のギャラリー を作成した(2016.1.13)。

さらに、ウランガラス収集の過程で入手した蛍光を発するグラス類の「ノン ウランガラス ページ」 を掲載した(2012.10.5)。

ウランガラスギャラリーに掲載されているウランガラスはオークションサイト:セカイモン により米国から入手したものがほとんどである。米国では一般的に、Yellow または Canary 色のウランガラスは、 ワセリンガラス(vaseline glass) と呼ばれている。

米国におけるウランガラス生産は、1800年代半ばから始まった模様で、1800年代後半から1910年代までに製造されたウランガラスは 「Eary American Pattern Glass(EAPG)」 として知られている。ただ、これら独特なデザインの EAPG は人気があることから、1910年以降、複製品 が多数生産されている。

また、1920年代から40年代にかけて米国で生産されたウランガラスは「Depression Glass(恐慌ガラス)」 と呼ばれている。そのデザインは実用的なシンプルなもので EAPG とは一見して見分けができる。現在でも米国のいくつかのガラスメーカーはウランガラスを生産している。使用しているウランは劣化ウランとされている。

米国では南北戦争(1861〜65年)以外に戦災がなかったため、古くからのウランガラスが数多く現存している。また、ボへミアなど海外から輸入されたウランガラスも残存していると考えられる。そのため、オークションには米国で生産されたもののみならずボへミアなど海外で生産されたと考えられるウランガラスも出品されている(2014.10.31)。

ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 7(2017.1〜2019)
ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 6(2016.1〜12)
ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 5(2015.1〜12)
ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 4(2014.1〜12)
ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 3(2013.1〜12)
ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 2(2012.1〜12)
ウランガラス研索日記 Uranium Glass Search Diary Part 1(2010.12〜2011.12)

Google
WWW を検索 http://iketomu.sakura.ne.jp/ を検索


[作者プロフィール][更新履歴] [あとがき] [おすすめリンクサイト] [Uranium Glass Antenna] [Top Page]
月日年内容
10/1/2020

ゴブレット クレソット
Goblet Creusot


セカイモンで入手した。「ELEGANT & RARE!! SANDWICH?? Canary ** LACY ** Heavy GOBLET!!(エレガントでレアな Boston Sandwich社製?のカナリーの重量感のあるゴブレット)」とされており、米国の有名なガラスメーカーである Boston Sandwich社あるいはヨーロッパ製で、1845年代から1860年代ごろのものとされている。 また、ドーム型の台の裏側にはレースのパターンが入っており、リムを軽くたたくと、フリントの時代を確かに示す素敵な「ティン」と音がするとされている。

このパターンは既に入手している クレソット フット タンブラー Creusot Footed Tumbler クレソット タンブラー 2 Creusot Tumbler 2 に似ており、また、これらパターンの間には点描があることなどが類似している。

とても重量感のあるゴブレットで、台の裏側にもパターンが施されており、いままでにこのような凝ったパターンは初めて。ゴブレットの上からのぞくとその底の細かい格子のパターンが綺麗に見える。

このゴブレットのデザインはEAPGにはなく、しかもパターンに触れた感じには鋭さがあり、オリジナルの型ガラスで複製品ではないと考えられる。また、ガラスに古さがあり、放射活性も4以上もあるので生産時期は古いと考えられ、ヨーロッパ(フランス?)で19世紀に生産された可能性が高い。

8/7/2020

タンブラー キズイセン
Tumbler Jonquil


セカイモンで入手した。説明では「4 Iridecent Vaseline Glass Tumblers Teal and Yellow a Gold Jonquil Flower」 とされ、上半分が青緑色、下半分が黄色のタンブラーで金色のキズイセンの ゴールドジョンキルフラワーのデカール(転写シート)が貼られているとされている。

6/28/2020

タンブラー フローラ アメジスト
Tumbler Flora Amethyst



説明によると、フィンランドの代表的グラスデザイナー Oiva Toikka(オイバ・トイッカ)の代表作の一つ、フローラ(Flora)シリーズのタンブラー。フローラの意味は「植物相」、現実のような、幻想のような植物の姿がエンボスで描かれ、沸き立つような生命感を感じる美しい手吹きガラスのタンブラー。もともとピッチャーとのセットで販売されたもの。

フローラのタンブラーは200ccサイズと300ccサイズが作られた。本品は200cc。カラーはグレー、ブルー、バイオレット、クリア、アメジストが作られた。本品はアメジストでネオジウムガラス(Neodymium glass)製、着色に使っている酸化ネオジウムにより、自然光下や白熱灯の下ではラベンダー色に、蛍光灯の下では薄いブルーと、周りの光に影響され、色が変化する。

タンブラーはタンブラーは1966年から73年まで作られた。 フローラそのものは1966年から1991年まで製造されていた(カラーガラスは1978年まで、以降はクリアのみ)。この間にArabia Nuutajarvi(1950-1971) → Arabia(1971-1977) → Nuutajarvi(1977-1988) → Iittala Nuutajarvi(1988-1990)とめまぐるしくメーカー名が変更した。ガラスはなかなか年代を特定できないので、 Nuutajarviとしたとのこと。

光によって色が変化するネオジウムガラスがあるとのことで入手してみた。酸化ネオジムは、可視光の550〜590ナノメーター(黄色光)の波長域を強く吸収し、青色域と赤色域とに可視域を分割している。そのうえ、ネオジムで着色されたガラスは、その厚みが薄いと青色が目立ち、厚いと赤色が目立つ吸収を示し、これは二色性と呼ばれている。二色性のこのガラスは光源の色調変化によりその色が極めて鋭敏に変化する特徴がある。

このネオジムガラス(Neodymium glass)は、アレキサンドライトガラス(Alexandrite glass)とも呼ばれている。宝石のアレキサンドライトは、太陽光下や蛍光灯下では暗緑色を示すが、赤色系スペクトルの強い白熱灯や蝋燭の明かりの下だと色が鮮やかな赤色に変わる。これは黄色系スペクトルを吸収するクロムを含有し、また石が反射する光に赤色要素と緑色要素の両方が平均的に存在し、青みが強い光線の元では青色系の色を、赤みが強い光線の元では赤色系の色を反射するためであるとされている。 ネオジムガラスとはその色変化の様子は異なるものの、類似している両者はとても興味深い。

5/21/2020

タンブラー バイオレット アートグラス
Tumbler Violet Art Glass



セカイモンで入手した。タイトルは、Rare Victorian Vaseline Uranium Glass Amethyst Enameled Tumbler Bohemian ビクトリア時代(およそ1850-1910年)の ボヘミアのアメジストのエナメルで書かれたアートグラス。

説明によるとボヘミア製とされている。淡いグリーンのワセリンガラスをアメジストパープルカラーで覆っており、これに花の図彩をほどこしたアートグラスとされている。

(This is likely bohemian. It is a lovely amethyst purple color cased in pale green vaseline glass. It has branches with flowers enameling. The entire piece glows under black UV light.)

エナメルで書かれた米国製のアートグラスは既に何点か入手しているが、絵柄が類似しているので、ボヘミア製ではなくおそらく米国製であろう。生産時期は1880〜90年代と考えられる。

紫色のウランガラスは知られていない。アメジストがかかっていない pale green のはブラックライトで蛍光を発するし、アメジスト色の側面はブラックライトで蛍光を発する。説明では pale green のウランガラスをアメジストパープルカラーのガラスで覆っているとされている。

放射活性を測定すると外側が 0.5、底が 0.7、カップの中では 1.0 で、外側よりも底の方が、また内側が最も放射活性が高かった。したがって、外側を覆ったとされるアメジストのガラスはウランガラスではないと考えられる。

すなわち、説明どおり、pale green のウランガラスにウランガラスではないアメジストパープルカラーのガラスで覆ったタンブラーとなっているようだ。なお、ガラスタンブラーの上端の切り口は濃い緑色になっており、ウランガラスの蛍光が反映しているようだ。

4/11/2020

ゴブレット プーケベリ アンバー
Goblet Pukeberg Amber



セカイモンで入手した。 説明書には Pukeberg社のHarald Elof Notiniのデザインで1910〜20年代に生産されたものであるとされている。Art Deco様式で、高さ6 3/4 インチで四方形の脚がついている書かれている。ほかのグリーンもある。

トパーズ色のような茶色がかったイエローブラウンのウランガラスは「TOPARZ TURKEY TRACKS TUMBLER」に次いで2つ目。蛍光灯下では、トパーズ色とグリーンの発色とが混ざり実に美しい。

4/11/2020

ゴブレット プーケベリ グリーン
Goblet Pukeberg Green



セカイモンで入手した。 説明書には Pukeberg社のHarald Elof Notiniのデザインで1910〜20年代に生産されたものであるとされている。Art Deco様式で、高さ6 3/4 インチで四方形の脚がついている書かれている。ほかにアンバーもある。

ウランガラスらしいグリーンのゴブレット。

3/22/2020

タンブラー スパニッシュ レース
Tumbler Spanish Lace



セカイモンで入手した。タイトルでは、Northwood社のSpanish Lace のオパールのシダの模様のアートグラスとされる。

淡緑色(pale green)のウランガラスで、淡黄色の図柄はVaseline Glass Identification に写真 が掲載されている。

「VASELINE GLASS:Canary to Contemporary」 のNORTHWOOD CO.のSPANISH LACE(p197)の説明によるとグリーンはレアだと記載されている。

2/16/2020

ゴブレット ビーダーマイヤ No1
Goblet Biedermeier No1




セカイモンのオークションで入手した。説明書のタイトルには、1840~50年代のビーダーマイヤー様式のワセリンガラスのゴブレットとされている。

上部カップの部分に3本線の模様が描かれている。ステムの長さが9p近くあり、先に入手している「Goblet Biedermeier Beaker」よりかなり長い。底は6枚の矢羽根状の「Goblet Biedermeier Beaker」と同じデザインであるが、「Goblet Biedermeier Beaker」では1枚の先は3つに分かれているが、これは2つに分かれている。

ステムと底の厚いガラス部分にはくすみが認められる年代を感じさせる。カップの側面と底の放射活性を測定したが同じ値を示した。2つはほぼ同じ時代に同じ場所で生産された可能性がある。

イエローのウランガラスで、蛍光灯下でも緑色の蛍光がよく発色しており、とても大きくて重量感もある。これまで入手したBiedermeier時代のBohemiaのゴブレットとしては飾っても映える十分な大きさがあり、最高のものである。どこに出しても恥ずかしくない逸品、絶品!それで名称にNo1と付記した。

2/16/2020

ゴブレット モーゼル
Goblet Moser



セカイモンで入手した。「Rare Moser Art Deco Vaseline glass Uranium neoclassical warrior frieze 6.75」とされており、チェコの有名なガラスメーカーであるモーゼル(Moser)社で、1920年ころのアールデコ様式のゴブレットです。

カップ胴部の金で彩色されたギリシャの女性戦士の浮彫り装飾がモーゼル社独特のものです。同じ浮彫装飾のある 花瓶Ando`s Utanglass Gallery 展示室2-3(9)(13) に掲載されている。

本品は、イエロー(yellow)のワセリンガラス。自然光のもとでもウランガラスの蛍光がはっきり分かります。

2/13/2020

タンブラー ルビナ ヴェルデ W
TUMBLER RUBINA VERDE W



セカイモンで入手した。タイトルは VICTORIAN CRANBERRY GREEN VASELINE URANIUM TUMBLER GLOWS C90 とされ、Victoria時代に製作されたものとされる。

Rubina Verdeでクランベリーの部分も蛍光を発するが、底に近い部分はイエローというよりもグリーンに近い。内側に白い薄いガラスの層があり、上側が厚く底の方にはほとんどない。内側に白いガラス層を付けたのが、桃色を表現するためか、補強のためなのかなど分からない。

そのため先に入手した「タンブラー ルビナ ヴェルデ ポルカ ドット」 とは色合いを異にする鮮やかなクランベリーレッドとグリーンのバイカラーのタンブラーとなっている。

1/22/2020

タンブラー アートグラス ワイルドフラワー
Tumbler Art Glass Wildflowers



セカイモンで入手した。タイトルでは、Phoenix Harrach Vaseline wildflower enameled Victorian glass tumbler 、ビクトリア時代(1880年代)の Phoenix Harrach のワイルドフラワーのアートグラスとされる。

淡緑色(pale green)のウランガラスで図柄は既に入手している「タンブラー フラワー アートグラス Tumbler Flower Art Glass」 と比べて繊細で、幾つもの野の花が緻密に描かれており、とても綺麗で見ていて飽きがきません。

1/19/2020

タンブラー ルビナ ベルデ アートグラス ハナミズキ
Tumbler Rubina Verge Art Glass Dogwood



セカイモンで入手した。タイトルでは、Phoenix Harrach glass cranberry Vaseline Rubina Verde Victorian glass tumbler 、ビクトリア時代(およそ1850-1910年)の Phoenix Harrach のルビナ ベルデ のアートグラスとされる。

下地のタンブラーは既に入手している「タンブラー ルビナ ヴェルデ TUMBLER RUBINA VERDE V」 に類似しており、米国の「Hobbs, Brockunier & Co. 製、生産時期は1880〜90年代と考えられる。これにハナミズキ(Dogwood)の花の図彩をほどこしたアートグラスとなっている。

Vaeline Glass Identification に同じアートグラスの写真1写真2が掲載されている。

米国製の図彩のタンブラーは2個目。ハナミズキ(Dogwood)の図彩がクランベリーレッドにマッチしていて美しい。また、蛍光灯下で Cranbery に緑色の蛍光が混じり、実に美しい。


[作者プロフィール][更新履歴] [Uranium Glass Antenna] [Top Page]