マイロボット「BLACK TIGER β3」の製作 Part 2


「BLACK TIGER β(1)」は、「KHR-1」のKRS-2350換装用胴体パーツの脚部にSC-4000CV Shisenkai Conversion KITを使用したKHR改造機体として製作した。機体のデザインは「BLACK TIGER」を踏襲している。KHRベースの改造機体でありながら、KRS-4013HV4個とKRS-2350HV6個の10個のハイパワーサーボで換装しており、オリジナルの「BLACK TIGER」に比べ、格段にパワーアップした機体となっている。

また、「BLACK TIGER」と互換性を持たせた「BLACK TIGER β2」は、KHR-2HVのサンプルモーションの転用を可能にしている。さらに、パワーアップした機体を生かして、自律センサーシステムを搭載し、ビーチフラッグなどの自律アスリート競技にも参加可能としている。

しかし、KRS-788HVを使用している腕や足元が脆弱であることから、さらに、KRS-4013HVの換装を増やして、パワーアップを図る余地がある。

一方、ロボット競技会の機体規格はROBO-ONE規定準拠がほとんどであり、これをクリヤーしておけばすべての競技会に参加できる。特に「腕の長さは脚長の120%以内」の規定があるものの、「腕の可動範囲が機体の中心から脚長の120%以内(指極長が脚長の240%以内)」の規定から、腕の長さは脚長以下にしないとクリヤーできない。

「BLACK TIGER β2」の重量は、1.74s(バスタブソールL、電池、無線受信器、自律センサー類を含む)となっている。「BLACK TIGER β3」は、ROBO-ONE規定 「2s以下」に準拠させることとするが(これにより、KONDO CUP オープンクラス機規定には「バスタブソールL」でも準拠することになる)、重量には強化改造のゆとりがある。

1.「BLACK TIGER β3」 への改造の基本的な考え方(コンセプト)

@KHR改造機体最強バージョンとする(最終的に機体名を「BLACK TIGER ZETA(ゼータ)」と命名する)。
AKHR-2HVのモーションを転用可能とする。
BROBO-ONE規定「2s以下」 に準拠(バスタブソール)する。
CKONDO CUP オープンクラス規定に準拠(バスタブソールL)する。
D自律システム(ビーチフラッグ対応)を搭載する。

2.ROBO-ONE規格準拠のための腕の改造

「BLACK TIGER」の特徴としていた変則3軸の腕構造では、ROBO-ONE規定に準拠しないので、一般的な3軸の腕構造に改造することとした。

(1)腕の長さを短くするために、腕構造を「BLACK TIGER」の変則3軸構造から腕旋回軸構造に変更した。長さがまだ長いのと取り付け方を再考することとした。



(2)腕構造をBLACK TIGERの変則3軸構造から腕旋回軸構造に変更したが、腕先のサーボの取り付け方向の向きを変えて、BLACK TIGERの腕構造に近い形とした。



3.脚部の強化

1)強化案の検討

案1.脚下部の直交化(メリッサレッグ化)
脚下部のロール軸サーボKRS788HVとピッチ軸サーボKRS2350HVをそれぞれKRS4013HV、KRS4014HVに換装すると同時に直交化し、メリッサレッグ化する。余剰となるKRS2350HV を腕のKRS788HVと換装して腕の強化を図る。これにより腕ユニットの装備が容易になる。

@直行軸用の足裏を作成
レッグプレートにドリルで穴をあけてロングアームを取り付ける。取付位置は従来、NEO, αなどと同じ位置の内側後方とし、既存のねじ穴1個を利用して、残り3か所に穴あけ。
A直行軸アームを使用して、KRS4013HVをロール軸に使用。ピッチ軸にはKRS4014HVを使用して足元ピッチ軸を強化。
B腕のKRS788HVをKRS2350HVに換装。

長所:機体・モーションが安定する。余剰のKRS2350HVを腕に転用して腕の強化が可能。
短所:脚長(15cm程度)が短くなり、ROBO-ONE規定準拠が困難。サーボホーン(4+4)の新規調達が必要。

案2.脚下部の強化
脚下部のロール軸サーボKRS788HVとピッチ軸サーボKRS2350HVをそれぞれKRS4013HV、KRS4013HVに換装するが、直交化は行わない。余剰となるKRS2350HV を腕のKRS788HVと換装して腕の強化を図る。

@ロール軸用の足底を作成
レッグプレートにKRS4013HVを横向きに取付(在庫基盤プレート2個)
A足元ロール軸と足元ピッチ軸のアームの組立て(在庫樹脂製又はアルミ4000アーム)
BアームへKRS4014HVを取り付けて4014に基盤を取り付けてアームを取り付ける
Cアームを膝サーボに接続

長所:脚長が若干伸びる。余剰のKRS2350HVを腕に転用して腕の強化が可能。脚長は変わらずROBO-ONE規定に準拠可能 短所:フレーム基盤2個と(アルミ4000フレームの場合)サーボホーン(4+4)の新規調達が必要。脚構造がかなり変わるのでKHR-2HVのサンプルモーションの転用に不安がある

案3.脚下部ロール軸の強化
脚下部のロール軸サーボKRS788HVをKRS4013HVに換装する。

@ロール軸用の足底を作成
レッグプレートにドリルで穴をあけてフレームを取り付けた。取付位置は中央、既存のねじ穴2個を利用して、残り2か所に穴あけ
A足元ロール軸(KRS4013HV)と足元ピッチ軸(既存KRS2350HV)のアームの組み立て(樹脂製4000アームと2000アーム)
BフレームにKRS4013HVを取り付けて、アームを接続

長所:脚長が若干伸びる。樹脂製4000アーム使用でホーンが不要。追加経費不要。脚長は変わらずROBO-ONE規定に準拠可能
短所:改造余地が残る。機体・モーションの安定に懸念が残る。余剰のKRS2350HVを腕に転用しての腕の強化は不可。

2)「BLACK TIGER β3の製作」強化案3の実施

はじめに、案3で脚下部ロール軸の強化を行い、KHR-2HVのモーションの転用、ROBO-ONE 準拠、KONDO CUP 準拠などの確認をを行う。検討結果によっては案2を実施。

(1)足裏のロール軸サーボCH15, CH21をKRS788HVからKRS4013HVに換装した。また、足裏をバスタブソールLからバスタブソールに交換した。サーボを足裏を合わせた重量は、102g⇒120gと+18g増加した。



(2)ホームポジションの調整
・サンプルモーションを利用するには、CH15をreverseに変換、CH15とCH21を788⇒4013の角度調整(x0.67)の必要がある。
・Trim調整後、HPを確認したが、若干後傾するのでTrimで膝ピッチ軸CH13, CH19を+10としたところ、直立するようになった。
・脚長は18.8cm、腕長17.8cm、指極長は49.5cm、もう少しでROBO-ONE規格合致。
あとはモーションの調整。

(3)「BLACK TIGER β3」Channel配置

「BLACK TIGER β3」 腕旋回構造+足裏ロール軸KRS-4013HV換装 2012.6 

KHR-2HV 改造機(KRS-2350HV×6, KRS-3013HV×6):Open Class 機


3)「BLACK TIGER β3-2の製作」強化案2の実施

BT-βのサーボ換装の第2弾(最終バージョンKHR最強改造機の製作)として、強化案3に続いて強化案2を実施することとした。すなわち、 足ロール軸サーボKRS788HVとピッチ軸サーボKRS2350HVをそれぞれKRS4013HVに換装するが、直交化は行わない。余剰となるKRS2350HV を腕のKRS788HVと換装して腕の強化を図った。

@CH14、CH20のKRS-2350HVをKRS-4013HVへ換装。ロングアームとB1をジョイントに上のKRS-4013HVと接続(サーボホーン余剰分2個を使用)。足元のKRS-4013HVとのジョイントにはKRS-2350HVに使用していた樹脂製4000アームを使用(サーボホーン不要)。
AKRS-2350HVを肩のKRS-788HVと換装(アームはKRS-2350HV用の在庫を金属アーム使用、ブラケットは以前KHR-1でKRS-2350HVの換装に使用していたものを使用)。
B手先を短いブラックタイガーをイメージした爪タイプに変更。
これでKRS-2350HV6個、KRS-4013HV8個の最強換装機体となり、腕も強化された。また、ROBO-ONE 2kg以下準拠機体 となった。「BLACK TIGER β3-2」Channel配置

「BLACK TIGER β3-2」 旋回軸腕肩サーボKRS-2350HV換装及び足ロール軸と脚下ピッチ軸KRS-4013HV換装 2012.6 

KHR-2HV 改造機(KRS-2350HV×6, KRS-3013HV×6):Open Class 機


「BLACK TIGER β」のVersionは以下のとおり
「BLACK TIGER β(1)」:プロトタイプ(Part1)
「BLACK TIGER β2」:Channel配置を「KHR-2HV」「BLACK TIGER」と同配置に変更(Part1)
「BLACK TIGER β3」:腕構造を変則3軸から旋回軸に変更及び足ロール軸KRS-4013HV換装(Part2)
「BLACK TIGER β3-2」:腕構造を変則3軸から旋回軸に変更し肩サーボKRS-2350HV換装及び足ロール軸と脚下ピッチ軸KRS-4013HV換装(Part2)

4.KHR-2HVサンプルモーションの転用

1)「BLACK TIGER β3-2」への変換
「BLACK TIGER β3-2」は足ロール軸と脚下部ピッチ軸をKRS-4013HVに換装、肩サーボをKRS-2350HVに換装するなどして、機体の強化を図ると共にROBO-ONE2s規格に準拠させた。KHR-2HVのサンプルモーションを「BT-β3-2」用に変換する(現時点ではHPと屈足終了のみ)。
@KRS-4013HV換装に伴う追加変換として、CH15をreverseに変換、CH15とCH21を788⇒4013の角度調整(x0.67)の必要がある。
ACH20をreverseに変換、CH14、CH20を2350⇒4013の角度調整(x0.67)の必要がある。
従来の変換法に追加サーボの分を含めて、新たに「KHR-2HV SampleモーションからBTβ3-2への変換」をまとめた。

2)モーションの作成と調整
KHR-2HVサンプルモーションから変換した前進と後退モーションの調整を行った(ハンチングが激しい上にモーションが堅く不安定)。
1)HPは(向かって)左足、右足は以下のとおり(110は直立、120は若干前傾の場合)
CH18:-20, CH12:-20
CH19:120(110), CH13:120(110)
CH20:0, CH14:0
2)ジャイロ
ピッチ軸 CH4:x8, CH20:x8
ロール軸 CH15:x3, CH21:x-3
3)ストレッチ(S1>S2>S3>)はハンチングが激しいので
モーション開始時は腕部:S3、脚部:S2(S1では強すぎてハンチングする、S3では弱すぎて前傾・後傾するなどモーションが安定しない)
モーション終了時は腕部:FR、脚部S1(強くすると停止が安定する)
とした。これで停止時にハンチングをしなくなり、モーションンも安定させることができた。
なお、KHR-2HVのサンプルモーションを変換したモーションを使用するのでサーボはシリアル制御とはしないですべてPWM方式とした。
4)スタートアップ時にHP後にAD1(ピッチ軸ジャイロ)、AD2(ロール軸ジャイロ)の補正を行い、ストレッチを腕部:FR、脚部S2に設定した。

以上により、安定した前進、後退モーションに調整できた。あとは起上り、左右横移動、左右旋回で基本モーションの完成。

5)追加モーション作成
@屈脚両起上Nを作成
A速い横歩き(右)(左)、旋回3(右)(左)、旋回4(右)(左)、サイドステップ3(右)(左)をサンプルモーションから変換して作成した。
Bサイドステップ4(右)(左)、シュート(右○)(左×)をサンプルモーションから変換して作成した。
Cキーパーk保持NをBTのモーションから変換して作成。変換は2〜5までを使用。ただし変換後のHPが少しずれているので調整が必要か?とりあえず保持のモーションのみ変更して作成した。また、屈足両起上モーションに起上途中のポジションを挿入して改良した。

KHR-2HVのサンプルモーションにあるモーションは変換してβ3-2用に使用。サンプルモーションにないモーション、左右横移動、攻撃モーションなどは新規に作成する。

5.足裏を「Bathtubsole-L」に交換(「BLACK TIGER β3-3」Bathtubsole-L (アスリートカップ仕様)

ロボットアスリートカップ2013 in 多摩六都宇宙科学館(2013年6月29-30日)に「BLACK TIGER β3-3」で参加することとした。機体レギュレーションは市販キットがベースであることで、改造は自由となっている。

(1) 「BLACK TIGER β3-2」はKHR-1、2をベースとして、脚部分にSC-4000CV Shisenkai Conversion KITを使用し、KRS-4013HVを8個とKRS-2350HVを6個で換装したROBO-ONE準拠(2kg以下)機体。より歩行を安定させるために「Bathtubsole」を「Bathtubsole-L」に交換し「BLACK TIGER β3-3」Bathtubsole-L アスリートカップ仕様とした。

「BLACK TIGER β3-3」Bathtubsole-L (アスリートカップ仕様) 2013.4 

KHR-2HV 改造機(KRS-2350HV×6, KRS-4013HV×8):Open Class 機 2kg以下


(2)新センサールール(SensorRuleB3-3)作成の続き

・超音波センサー前面右肩上9、PSD前面左10、PSD前面右11、PSD左横12、PSD右横14、(予備PSD後右13)、加速度センサーバックパック裏蓋15。
・スタートはPSDセンサーの横左12、横右14による2とおりとする。
・センサールールB3-3はB3-1に準拠して新モーションCHを書き換え。

(3)ロボットアスリートCUP2013 in 多摩六都宇宙科学館(2013.6.30)の結果考察

無線5m走行:直進は右にそれるので途中で方向変更、これに時間がとられた。前々回のアスリートパックに出場した「BLACK TIGER」よりも速度が遅くなった。次回は真っ直ぐ歩かせること、スピードアップ、スラローム走行に注力の必要あり。




無線10m障害物走:やはり直進が右にそれるので途中で方向変更、5mのポールでのターンに時間がかかり、転倒もあり、時間がかかった。次回は5m走と同じく、真っ直ぐ歩かせること、スピードアップ、スラローム走行に注力の必要あり。また、障害物を倒して進むと転倒するので、障害物を跨ぐモーションも準備する必要あり。




自律ビーチバトル:予選は起上がりで方向がずれて、また直進が右にそれるので、コースの半ばで右にコースアウトしてリタイア、記録3.5m。準決勝では、運よくコースを進み、ポールを倒すことに成功して快勝し、決勝に進出。決勝では起上がり後に転倒して逆方向に進み完敗。起上がりから前進までが順調で、直進できれば勝機がある。超音波センサー受信機のセンサールールの検討が必要。




6.Bathtubsole-L 足裏ゴム&ラージフロントカウル装着(「BLACK TIGER β3-4」アスリートカップ仕様

(1)足裏にゴムを装着した。これはBT-NEO、BT-αと同じ仕様。歩行モーションを試行したところ、すべり足よりも歩行が安定した。また、旋回モーションを試行したところ、問題なく旋回できることを確認した。機体重量があり、パワーがある機体の足裏にゴム装着は正解。あとは左右横移動モーションとスラローム走行。



(2)Lipoが新しいタイプ変わったことから、以前のカウルには収まらないことが判明したので、急遽、ラージカウルを発注し、交換した。

「BLACK TIGER β3-4」Bathtubsole-L 足裏ゴム&ラージフロントカウル装着(アスリートカップ仕様) 2013.8

KHR-2HV 改造機(KRS-2350HV×6, KRS-4013HV×8):Open Class 機 2kg以下


(3)左右横移動モーションの作成
@脚にはSC-4000CV Shisenkai Conversion KITを使用しているが、この脚の角度に沿ったポジションHWを作成した。A足裏にゴムを装着して足裏の接地が強くなったので、脚を曲げたポジションHWをベースに、従来のNEOの横移動モーションを作成したところ、横移動が動作するようになり、左右の横移動モーションがようやく出来上がった。


「BLACK TIGER β」のVersionは以下のとおり
「BLACK TIGER β(1)」:プロトタイプ(Part1)
「BLACK TIGER β2」:Channel配置を「KHR-2HV」「BLACK TIGER」と同配置に変更(Part1)
「BLACK TIGER β3」:腕構造を変則3軸から旋回軸に変更及び足ロール軸KRS-4013HV換装(Part2)
「BLACK TIGER β3-2」:腕構造を変則3軸から旋回軸に変更し肩サーボKRS-2350HV換装及び足ロール軸と脚下ピッチ軸KRS-4013HV換装(Part2)
「BLACK TIGER β3-3」:「Bathtubsole」を「Bathtubsole-L」に交換(Part2)
「BLACK TIGER β3-4」:「Bathtubsole-L」に足裏ゴム&ラージフロントカウル装着(Part2)

マイロボット「BLACK TIGER β(1), 2」の製作 Part 1
マイロボット「BLACK TIGER β3, 3-2, 3-3, 3-4」の製作 Part 2

[ゲストブック] [Robot Contents] [Top Page]