マイロボット「BLACK TIGER ZETA 」の製作 Part 3


「BLACK TIGER ZETA」は平行リンク足マーキュリー搭載の自律バトル専用機として製作してきたが、当初想定していた自律バトルにおける「NEO」の運動性、機動性の維持、UPが図れず、「ZETA」への平行リンク足搭載を断念した。

これは平行リンク足の自由度が少ないこと、既製部品のために「NEO」の胴体に比して足が長い(長くすることはできるが短くすることができない)ため重心が高くなり機体のバランスが悪くなったこと、重量の増加(サーボを各関節に使用)などによるものと考えられた。

その後「ZETA」については、構想を転換し、足構造を「NEO」とほぼ同じにして、新コントロールボード「RCB-4HV」を搭載した新自律バトルシステム試験機(センサー動作電圧5V:広角USSx4,PSD:GP2Y0A21 x4〜6)とし、また、自律バトル専用機から「NEO」と同じ自律バトル機能搭載多目的機とすることとした。

また、懸案であった構造的に弱い背部のボード搭載部分に、KHR-3HVのバックパックを採用することとした。これによりバックパックの中にRCB-4HV、ジャイロセンサー、加速度センサー、KRI-3と無線受信機などすべてコンパクトに収まった。また、RCB-4HV搭載によりdasy chain化したので、ゆとりのある配線となった。

ただ、基本的な機能の搭載が完了し、トリム調整、ホームポジションの設定を終えてモーション作成を進められる段階まで来たが、当初自律機能強化に寄与すると想定したセンサー端子が現時点で使用できないこと、またRCB-3HVで作成した「NEO」のモーションなどが転用できないこと、RCB-4HVがうまく扱えないことなどから今後「ZETA」の立ち上げには相当の時間が必要と考えられた。一方、現時点ではRCB-4HV搭載のメリットがdasy chain化による配線の簡素化のみしか見出せない。

このため、現時点では、RCB-4HVの使用は時期尚早と判断し、RCB-3HV搭載の「NEO」のモーションなどのりソースを生かすために「ZETA」のコントロールボードをRCB-3HVへ再度変更することとし、コンセプトの見直しを行った。

1.再改訂新機体「ZETA」製作の基本的考え方(コンセプト)

(1)多目的機(サッカー、ダンスなど)
(2)機体構造・デザインは「NEO」を踏襲。
(3)コントロールボードRCB-3HVを搭載(NEOのモーションソースを生かす)。
(4)MANOIセンサーボードを搭載すれば自律機能も可能とする(当面はセンサーボードは搭載しない)。
(5)最大軸数23軸(当面は足旋回軸除く21軸)サーボはKRS-4013HV(足ロール軸KRS-4014HV)。
(6)機体重量は3kg以下。

2.新機体「ZETA」仕様(現段階での仕様で順次改訂の予定)

(1)脚部:イトーレイネツ製、膝はダブルサーボ
(2)足裏:バスタブソール+ラージソール
(3)胴体部分:「メリッサ」
(4)旋回軸:胴体旋回軸搭載、足旋回軸なし(増設可能)
(5)腕:リーチを伸ばす
(6)足裏:バスタブソール+ラージソール
(7)コントロールボード:RCB-3HV
(8)本体センサー:ジャイロセンサー2、加速度センサー1
(9)無線受信機:KRI-1
(10)ボードカバー:KHR-3HVバックパック
(11)フロントカウル:ラージ

3.再配線

(1)サーボのID書き換え

機体の構造の改造はそのまま不変とした。「RCB-4HV」ではdasy chain化のためサーボのIDを設定していたが、これをもとに戻さないと「RCB-3HV」では動作しない。IDW-01でIDを0に書き換えることで、再度「RCB-3HV」にシリアルで使用可能となる。

パソコン(IDW-01)とシリアルUSB アダプターHS および、RCB-4 を接続。RCB-4 のSIO 端子には、SIO1 〜SIO4 のいずれかに、ID 書き換えを行うサーボを1 個だけ接続する。電源を接続してON、COMM設定、再度IDの0の書き込みを行った。

原因は不明であるが、このID再書き換えで一部のサーボの設定データの書き換えが起こりサーボの動作角が変化した。修理を依頼することになった。

(2)配線

「NEO」では配線では、センサー系の配線もあることから、バックパックの上部のトップパネルBを取り外したが、「ZETA」ではトップパネルBをそのまま取り付けて使用して、配線はへの横から行ったが、特段の問題はなさそう。(dasy chain用配線はそのまま使用できるものを除き一括保存)

胴体下部の背面板は、5mm台付きねじを使用して配線のための間隔を広げた。また、配線はゆとりをもたせて、モーションを作成しながら調整して固めることとした。

「BLACK TIGER ZETA」 (RCB-3HV及びバックパックセットA搭載) 2009.12

(最新自作機体:Open Class 機)


4.基本設定

(1)トリム調整、ホームポジション、セットアップモーションの作成
(2)ジャイロ、加速度センサーの設定(設置はそのまま)

5.基本モーションの作成

(1)前進モーション
(2)後退モーション
(3)左右横移動モーション
(4)左右J旋回モーション
(5)上向き・下向き起上り、両面起上りモーション

6.応用モーションの作成(予定)

4ポジション歩行、高速歩行、スラローム
サッカーモーション
バトルモーション(旋回拳)
ダンスモーション

7.「ZETA」の解体

「BACL TIGER ZETA」の製作を2009.6から開始したが、「ZETA」については、コンセプトの変更が続いた。当初は平行リンク足「Murcury」を搭載したが、想定したモーションが再現できずに搭載を中止した。その後「RCB-4HV」が発売されたのでコントロールボードに採用したが、これも当初に想定したセンサー制御が十分できず、また操作性も習得できずに元の「RCB-3HV」に戻した。最終的には「NEO」を凌駕するために製作を開始した「ZETA」は「NEO」を超えらなかった。

このような「ZETA」製作の停滞の中、多脚ロボット製作の動きもあり、「BT-L5」「BT-L15」で動作が実証できた新型変則5脚機をさらに発展させるため、KRS-4013HVを使用している「ZETA」をベースに、新高性能機体「BT-L45」の製作を2010年3月に開始することとした(ロボット製作第5期ターニングポイント)。


マイロボット「BLACK TIGER ZETA」の製作 Part 1
マイロボット「BLACK TIGER ZETA」の製作 Part 2


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