マイロボット「BLACK TIGER ZETA 」の製作 Part 1


「BLACK TIGER NEO」の製作コンセプトはハイパワーのサーボを使用した万能機とした。その後、バトルをはじめアスリート系競技の操縦技量に限界を認め、自律(バトル)機能搭載に注力してきた。「BLACK TIGER NEO」の自律バトルシステムはほぼ完成の域にあるが、既に入手してある平行リンク足「マーキュリー」の可能性を試すなど更なる発展を目指すこととした。

一方、「KHR-1」のサーボをHV化し足構造をKHR-2HV化するなど改造してきた「BLACK TIGER」へも自律(バトル)システムの搭載を試みてきたが、機体のパワー不足からビーチフラッグへの対応が限度であり、自律バトルへの対応には限界が認められることから、「BLACK TIGER 8」から自律機能を取り外し、センサーとセンサーボードなどの有効利用を図ることとした。

今まで「BLACK TIGER δ」など新機体の立ち上げを構想してきたがコンセプトを明確にできなかった。ここへきて自律バトル専用機を想定して新機体を立ち上げることとした。命名は「BLACK TIGER ZETA(ゼータ)」 とした(2009.5.11)。

命名の由来は、ギリシャ語アルファベット6番目 「Ζ ζ(ゼータ) zeta」の読み、「ZETA」とした。
理由として、
1.ギリシャ文字の読み方のうちあまり使用されていない読み方の文字からとった。「ジータ」とも読まれるが「ゼータ」と読むこととする。
2.「ZETA」はロボット製作をはじめてから6台目(@KHR-1、ABLACK TIGER、BIKT-I、CBLACK TIGER NEO、DBLACK TIGER MINI)のロボットに当たることから、ギリシャ語アルファベット6番目を採用した。

2台あればどこでもバトル練習ができる。また、第5回KHR Anniversary(2009.6.13) で「KHR-3HV」と「RCB-4HV」の発表があったが、これらの新部品も入手でき次第、順次、新機体「ZETA」あるいは「NEO」に応用する。

1.新機体「ZETA」製作の基本的考え方(コンセプト)

(1)自律バトル専用機を想定(ただし運動性能次第)。
(2)新規に1機製作(「NEO」は温存。完成まで競技会には「NEO」で参加。「ZETA」が完成した段階で「NEO」を再検討)。
(3)機体重量は3kg以下を想定。
(4)最大軸数23軸(当面は足旋回軸除く21軸)。
(5)胴体フレームはメリッサ、脚部はマーキュリーとして、既存部品を利用。
(6)サーボはKRS-4013HVを使用。
(7)製作期間:完成(競技会参加可能レベル)まで3か月〜1年程度を想定(完成まで競技会には「NEO」で参加)

2.新機体「ZETA」仕様(現段階での仕様で順次改訂の予定)

(1)脚部:「マーキュリー」平行リンク足採用。
(2)胴体部分:「メリッサ」。
(3)胴体旋回軸搭載、足旋回軸なし(増設可能)。
(4)腕:リーチを長く
(5)足裏:基本はバスタブソール、既存部品利用、新規作成も。
(6)コントロールボード:RCB-3HV。
(7)センサーボード:MANOIセンサーボード(「BLACK TIGER」搭載品)
(8)センサー/センサーコード:「BLACK TIGER」搭載品を使用。

3.RCB-3HVの設定

(1)シリアル制御

PWM制御から「NEO」と同じ、シリアル制御に変更。

(2)Channnel配置

「NEO」のChannel配置を踏襲。なお、足旋回軸のチャンネルは後で追加できるように欠番とした。

4.機体の製作

(1)部品の調達

1)平行リンク足「マーキュリー」、「メリッサ」の胴体部分は既に調達済み。KRS-4013HV、サーボホーン、フリーホーン、RCB-3HVなどを新規調達した。

2)Head取付台部品確保。自転車ランプの取り付け台の底を削って平らにしてネジ穴をあけた。これでBLACK TIGERのLED Headが取り付け可能となる。



3)足底確保。KHR-1拡張4自由度ユニットの足底を利用することとした。KHR-1のラージソール(113x59mm)より一回り大きく(120x66mm)使えそう。



4)CPボード取付台確保。ボディカバーセットラージはボディカバーが壊れて何個も買ったのでボード取り付け用のプラスチック台は在庫を利用。

(2)部品の塗装

部品の塗装を行なった。「BLACK TIGER」を踏襲して全体的に黒に塗装する。手先と足裏はタイガーの爪を想定して塗装しない。

(3)胴体の組み立て

1)胴体のボディポストネジ穴作成。メリッサの胴体には下側のラージカウル固定用のボディポスト取り付け穴が設けてある。一方、R-BlueボディーTypeRCB(SMRS-001)には下側のラージカウル固定用のボディポスト取り付け穴がない。メリッサの胴体を「BLACK TIGER NEO」の胴体R-BlueボディーTypeRCB(SMRS-001)と交換したので、R-BlueボディーTypeRCB(SMRS-001)の下側にラージカウル固定用のボディポスト取り付け穴を作成した。



2)胴体側板のスイッチ取り付け孔作成。自律バトルでは容易に電源をOFFにできるようにスイッチは必須である。スイッチの設置場所は胴体の横しかないので、スイッチ取り付け孔を作成した。また、底板にねじがあたる部分を削除した。



3)胴体部分の組み立て開始。側板にスイッチ取り付けてハンダ部分を絶縁のためホットボンドでカバー。胴体上部はほぼ完成だが、サーボのコードが長すぎる。後で短いもの(15cm)と交換する必要あり。上板にLED HEAD台を取り付け、ねじを十字ネジに交換。

4)胴体の上部と下部の組み立て完了。



5)胴体の組み立て完了。RCB-3HVの設置。サーボの軸だし。腕基部アーム取り付け。



(4)脚部分の組み立て

1)平行リンク足マーキュリーの組み立て。足首のみ直行軸とする。上部はアームで胴体サーボに接続。

2)平行リンク足マーキュリーの組み立てがほぼ完了。配線後、トリム調整して、サーボホーンをビス止めの予定。足の長さは24.5cmで足底の縦は50%の12cmとなるので、KHR-1拡張4自由度ユニットの足底(120x66mm)が利用可能。

(5)腕部分の組み立て

1)腕パーツの製作。腕の構造は「BT NEO」を踏襲。手先はSC-4000ARMを使用してSC-4000Bに1cm台付ねじに1cmのジョイントをつなげて2cmにしたもの5本でSC-4000Bに取り付けた。

2)腕の組み立て。腕の長さは23.5cm。



(6)機体の組み立て

1)胴体に両腕、両足を取り付けて組み上げ。

2)各サーボに配線。脚部は組み上げてから配線することとしたが、隙間から何とか配線できた。足首のヨー軸とピッチ軸のサーボの配線は50cm。脚上部の配線はそれぞれ短くした。

3)RCB-3HVをPMWからシリアルに変更。通電してサーボが動作するか確認、動作しないサーボはサーボのポートを変更して動作を確認した。

4)ホームポジションの設定。トリムの調整をするにはホームポジションを設定しておかなければならないので、ホームポジションは直立姿勢(足直立、腕胴体の横)として登録。

5)トリムの調整。平行リンクの脚部はトリムを調整しながらサーボホーンを固定した。

6)スタートアップモーションを設定。とりあえずホームポジションをスタートアップモーションに設定。あとで歩行の基本ポジションに変更の予定。

7)HEADとフロントカウルを取り付けて新機体プロトタイプが完成(2009.6.21)。



8)足の付け根のロール軸のサーボをKRS-4013からKRS-4014に変更する。KRS-4014はNEOの肘に使用しているものと交換することとした。

9)足付け根アームをロングアームから短アームSC-40Aへ交換。マーキュリーの構造からロングアームでは足を水平にまで開くことができないので、 足付け根アームをロングアームから短アームSC-40Aへ交換した。



これで足を水平にまで開くことができ、両面起き上がりモーション作成が可能となる。足を曲げて立ち上がるときに足裏のゴムの摩擦に影響されずに立ち上がれるかがポイント。フレームが細いのでかなり華奢な感じがする。これで「ZETA」のProto-Typeが完成した。





10)基本モーションの作成

プロトタイプが完成したので、基本動作@前進、C後退、D左右横移動、Eジャンプ旋回、F両面起き上がりなどを作成し、運動性、機能性の検討を行った。

(8)今後の予定:「ZETA」構想の転換

「ZETA」は平行リンク足マーキュリー搭載の自律バトル専用機として製作してきたが、当初想定していた自律バトルにおける「NEO」の運動性、機動性の維持、UPが図れていない(「NEO」の攻撃の特徴としてきた旋回攻撃、両面起上りなどが不可及び平行リンク足マーキュリーのメリットが見いだせず使いこなせていない)。

これは平行リンク足の自由度が少ないこと、既製部品のために「NEO」の胴体に比して足が長い(長くすることはできるが短くすることができない)ため重心が高くなり機体のバランスが悪くなったこと、重量の増加(サーボを各関節に使用)などによる。

以上のことから、「ZETA」への平行リンク足搭載を断念(直観的な判断:機能面と外観が自身のコンセプトに合わない)。「ZETA」については足構造を「NEO」とほぼ同じにして、新コントロールボードRCB-4HVを搭載した新自律バトルシステム試験機(センサー動作電圧5V:当面は広角USSx4,PSD:GP2Y0A21←GP2D12 x4〜6)とし、また、自律バトル専用機から「NEO」と同じ自律バトル機能搭載多目的機とする。

マイロボット「BLACK TIGER ZETA」の製作 Part 2
マイロボット「BLACK TIGER ZETA」の製作 Part 3
マイロボット「BLACK TIGER ZETA」の製作 Part 4


[ゲストブック] [Robot Contents] [Top Page]