マイロボット「BLACK TIGER ZETA 4」の製作 Part 4


「BLACK TIGER NEO」は、イトーレイネツのKRS-4000番サーボ用パーツをベースとして製作した最初の自作機。機体のデザインは「BLACK TIGER」 を踏襲しており、新型を意味して「NEO」と命名した。最初の機体は胴体ヨー軸 がなかったが、R-Blueの胴体部分が発売されたのを機会にこれに更新して、現在の23軸の「BLACK TIGER NEO」の機体となった。

操縦が不得手のことから、自律バトル機能を搭載している。そのためのセンサーシステムは改良を継続しているが、現在はPSD距離センサーと超音波センサーのハイブリッドセンサーシステムとしている。自律バトル機としては最高水準を誇る。ただ、最近はバトル競技参加機体が大型化しており、バトル機としては劣勢を免れない。

機体の大型化に対応するため、既に入手してある平行リンク足「マーキュリー」の可能性を試すなど更なる発展を目指すこととした。そのための試作機として自律バトル専用機を想定して新機体を立ち上げることとした。命名は「BLACK TIGER ZETA(ゼータ)1」 とした。

命名の由来は、ギリシャ語アルファベット6番目 「Ζ ζ(ゼータ) zeta」の読み、「ZETA」とした。理由として、

1.ギリシャ文字の読み方のうちあまり使用されていない読み方の文字からとった。「ジータ」とも読まれるが「ゼータ」と読むこととする。
2.「ZETA」はロボット製作をはじめてから6台目(@KHR-1、ABLACK TIGER、BIKT-I、CBLACK TIGER NEO、DBLACK TIGER MINI)のロボットに当たることから、ギリシャ語アルファベット6番目を採用した。

「BLACK TIGER ZETA1」は平行リンク足マーキュリー搭載の自律バトル専用機として製作してきたが、当初想定していた自律バトルにおける「NEO」の運動性、機動性の維持、UPが図れず、「ZETA」への平行リンク足搭載を断念した。

これは平行リンク足の自由度が少ないこと、既製部品のために「NEO」の胴体に比して足が長い(長くすることはできるが短くすることができない)ため重心が高くなり機体のバランスが悪くなったこと、重量の増加(サーボを各関節に使用)などによるものと考えられた。

その後、構想を転換して、脚構造を「NEO」とほぼ同じにして、新コントロールボード「RCB-4HV」を搭載した新自律バトルシステム試験機(センサー動作電圧5V:広角USSx4,PSD:GP2Y0A21 x4〜6)「BLACK TIGER ZETA 2」とし、また、自律バトル専用機から「NEO」と同じ自律バトル機能搭載多目的機とすることとした。

また、懸案であった構造的に弱い背部のボード搭載部分に、KHR-3HVのバックパックを採用することとした。これによりバックパックの中にRCB-4HV、ジャイロセンサー、加速度センサー、KRI-3と無線受信機などすべてコンパクトに収まった。また、RCB-4HV搭載によりdasy chain化したので、ゆとりのある配線となった。

ただ、基本的な機能の搭載が完了し、トリム調整、ホームポジションの設定を終えてモーション作成を進められる段階まで来たが、当初自律機能強化に寄与すると想定したセンサー端子が現時点で使用できないこと、またRCB-3HVで作成した「NEO」のモーションなどが転用できないこと、RCB-4HVがうまく扱えないことなどから今後「ZETA 2」の立ち上げには相当の時間が必要と考えられた。一方、現時点ではRCB-4HV搭載のメリットがdasy chain化による配線の簡素化のみしか見出せない。

このため、RCB-4HVの使用は時期尚早と判断し、RCB-3HV搭載の「NEO」のモーションなどのりソースを生かすために「ZETA 2」のコントロールボードをRCB-3HVへ再度変更することなどコンセプトを見直して「BLACK TIGER ZETA 3」を製作した。

このような「ZETA」製作のコンセプトの変更が続いた中、多脚ロボット製作の動きもあり、「BT-L5」「BT-L15」で動作が実証できた新型変則5脚機をさらに発展させるため、KRS-4013HVを使用している「ZETA」をベースに、新高性能機体「BT-L45」の製作を2010年3月に開始することとし、「BLACK TIGER ZETA 3」は「BLACK TIGER L45」へ改造された。

なお「BLACK TIGER L45」は「BLACK TIGER L46」へと改造されて、ロボットサバイバルゲームに参加していたが、2015.10に引退させた(解体)。

一方、「BLACK TIGER β」は自律競技向けにセンサーボードを搭載し、PSD4個と超音波センサーを搭載しているので、自律バトル機としての改造を検討したが、機体が小型でこれからの自律バトル機の大型化を想定すると力不足。また、これまでビーチフラッグなどに参加してきたが、今後は参加の見込みがないことから、引退させることとした(解体)。

ここへきて、ROBO-ONEautoが開催されたこと、ROBO-ONEルールが改正されて横攻撃ができなくなったことなどから、いままでコンセプトが変遷してきたが、再び「BLACK TIGER ZETA 1」へ立ち返ることとして、既存部品を有効利用し自律バトル試験機「BLACK TIGER ZETA 4」を製作することとした。

1.新機体「ZETA 4」製作の基本的考え方(コンセプト)

(1)自律バトル専用機
(2)新規自律バトル試験機として製作(「NEO」「NEO 2」は温存)
(3)「NEO」「NEO2」と脚構造以外は同じ機体を製作
(4)「NEO」「NEO2」とのモーション、センサールールなどを互換
(5)機体重量は3kg以下
(6)脚長は25p(NEO)以上、腕(胴体から離れて動く部分)の長さは最長30p
(7)最大軸数23軸(胴体旋回軸搭載、脚旋回軸搭載)
(8)既存部品を利用
(9)当面はセンサーシステムは基幹部分(センサーボード)のみとする(運動性能の検証のため)、センサーシステムについては別途検討
(10)当面は基本モーション及び攻撃モーションを作成して「マーキュリー」の運動性能の検証を行う

2.仕様(既存部品を利用)

(1)胴体フレーム:メリッサ「BLACK TIGERZETA 1」
(2) 脚部:「マーキュリー」(平行リンク足採用)
(3)サーボ:KRS-4013HV
(4)足裏:KHR-1拡張4自由度ユニットの足底(120x66mm)またはバスタブソール
(6)コントロールボード:RCB-3HV
(7)センサーボード:MANOIセンサーボード(「BLACK TIGER β」搭載品を使用)
(8)センサー/センサーコード等:「BLACK TIGER β」搭載品を使用。

3.機体の製作

(1)胴体の組み立て

1)「NEO」{NEO2」と同じ胴体を作成する。上半身は「ZETA1」に使用した R-BlueボディーTypeRCB(SMRS-001)を使用し、下半身は在庫の新品を使用した。なお、「ZETA1」のR-BlueボディーTypeRCB(SMRS-001)の上半身については、胴体のボディポストネジ穴をすでに追加作成してある。



2)胴体の上部と下部の組み立て完了。「BLACK TIGER β」のバックパックをそのまま「ZETA 4」胴体上部に取り付けた。バックパックにはRCB-3HV, センサーボードなどが取付済み。



3)胴体の組み立て完了。胴体サーボをRCB-3HVに配線した。



(2)脚部分の組み立て

1)平行リンク足マーキュリーの再塗装をした。



Pアームは4段階であるが、3段をカットしたら接続部分が弱くなって、荷重がかかると変形するので、2段カットしたものを製作し交換することにした。



2)平行リンク足マーキュリーの組み立て。足首及び脚基部を直行軸とする。仮組み立てして脚長を測定したところ、25p。最長まで伸ばすと+3.0pで、脚長は28pとなる。可能範囲は脚長28pの120%で33.6pとなり、胴体半分は5.5pであるから、腕(胴体から離れて動く部分)の長さは、28pとなる。足底の縦は50%の14cm、横は30%の8.4cmとなり、KHR-1拡張4自由度ユニットの足底(120x66mm)が利用可能。



3)平行リンク足マーキュリーの組み立てが完了。



あとは、胴体へ取付、配線、トリム調整して、サーボホーンをビス止め。

(3)腕部分の組み立て

1)腕構造の検討

「ZETA1」腕の構造は「BT NEO」を踏襲。手先はSC-4000ARMを使用してSC-4000Bに1cm台付ねじに1cmのジョイントをつなげて2cmにしたもの5本でSC-4000Bに取り付けた。腕の長さは23.5cm。



「NEO」でも腕の伸長の検討を行っている(NEOの製作 Part9)。肘のKRS-4013HVにレッグプレートを取り付けてKRS-2350HVを接続。KRS-2350HVは向きを90度変える。手の爪は90度向きを変える。

腕の長さ比較
BLACK TIGER NEO(伸長前):22.0 cm
BLACK TIGER NEO(伸長後):24.5 cm



「BT-α3」では、腕に伸長用のKRS-4000シリーズ用レッグプレートSC-4000L1を2組使用して腕の伸長を行っている(BT-αの製作 Part3)。
BLACK TIGER α3:29.5 cm



「ZETA4」では「NEO」の腕伸長の検討の際の腕構造を踏襲して、腕に伸長用のKRS-4000シリーズ用レッグプレートSC-4000L1を1組使用して腕の伸長を行う。ただし、伸長用のレッグプレートSC-4000L1を使用する位置によって構造と腕の動作が変わるので検討が必要となる。いずれも腕の長さは27cmとなる。

左の構造は、上方への力は右の構造よりも弱いと考えられるが、物を掴むことは容易にでき汎用性がある。一方、 右の構造は、上方への力は左の構造よりも強く、バトル向きと考えられるが、物をつかむ動作は難しい。以上から汎用性を重視し、左の構造とした。



(4)機体の組み立て

1)各部分の重量の測定
胴体部分(Head、電池重量含む:810g、脚:620gx2、腕:272gx2、総重量:2594g=2.6kg

2)胴体に両腕、両足を取り付けて組み上げ



3)Channel配置は「NEO」のChannel配置を踏襲

「BLACK TIGER ZETA 4」Channel配置

4)ROBO-ONE規格準拠を確認

「BLACK TIGER ZETA 4」規格

5)各サーボに配線。脚部は組み上げてから配線することとしたが、隙間から何とか配線できた。足首のヨー軸とピッチ軸のサーボの配線は50cm。脚上部の配線はそれぞれ短くした。

6)ホームポジションの設定。トリムの調整をするにはホームポジションを設定しておかなければならないので、ホームポジションは直立姿勢(足直立、腕水平)として登録。

7)トリムの調整。平行リンクの脚部はトリムを調整しながらサーボホーンを固定した。

8)スタートアップモーションHP0を設定。とりあえずホームポジションHP0(直立姿勢:足直立、腕水平)をスタートアップモーションに設定。あとで歩行の基本ポジションに変更の予定。

9)新機体「ZETA 4」Proto-Type が完成。

4.基本モーションの作成

プロトタイプが完成したので、1)ホームポジション及び基本動作、2)前進、3)後退、4)左・右横移動、5)上向・下向起上、攻撃動作、6)前方左・右攻撃、7)後方左・右攻撃などを作成し、運動性、機能性の検討を行う。

1)ホームポジションの設定

ホームポジションHP(歩行の基本ポジション)は膝を90°に曲げた姿勢(腕は胴体の横)として設定
ホームポジションHPをスタートアップモーションに設定
FREEを設定
屈足終了モーションを設定
直立ポーズを設定



マイロボット「BLACK TIGER ZETA 1」の製作 Part 1
マイロボット「BLACK TIGER ZETA 2」の製作 Part 2
マイロボット「BLACK TIGER ZETA 3」の製作 Part 3


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