自律バトルセンサーシステムの製作(1)〜(4)

自作機体「BLACK TIGER NEO」を製作したが、プロポの操縦が不得手なことから、プロポ操縦に勝る自律バトルシステムの製作を目的として「BLACK TIGER NEO」に自律バトルシステムを搭載することとした。


(1)MANOIセンサーボード搭載
〈自律バトルへの応用・PSDセンサー・3.3V電源ボード〉


RCB-3HVへのセンサー入力は限られているので、自律バトルシステム作成に当たっては、別にセンサーコントロールボードが必要である。「MANOIセンサーボード(HRP100)」 はRCB-3HV用に開発された専用のセンサーコントロールボードで、扱えるセンサーの数も多いことから、これを用いた自律センサーシステムを構築することとしした。

はじめに「MANOIセンサーボード(HRP100)」のバトルへの応用を検討し、PSDセンサーと加速度センサーによる自律バトルシステムを製作した。

次いで、PSDセンサーは多いほど感知範囲が広くなると考え、PSDセンサーの増設を試みた。PSDセンサーは電流を多く必要(最大150mA位)とし、MANOIセンサーボードは、接続センサーへの総電流は750mAとされている。実際にPSDセンサーを6個以上接続するとフリーズしてしまい、PSD接続の限度は5個までであった。これを回避してPSDを増設するにはPSDへの3.3V電源の供給のみを別系統で行う必要があり、PSDセンサーの増設ための補助電源回路の作成・搭載し、PSDセンサー8個のバトル自律システムを完成した。


(2)小型超音波センサー搭載
〈MX001 LV-MaxSonar EZ0〜4〉


自律バトルではセンサーによる目標の正確な捕捉がポイントになる。PSDセンサーは指向性が高く、かつ感知範囲が15cm〜80cmと自律バトルに適した感度があることから、4方向をセンシングするため、当初MANOIセンサーボードの電源供給限度の5個まで搭載した。さらに8方向をセンシングするために、3.3V電源ボードを製作して、PSDセンサー追加搭載可能なシステムとした。

しかしながら、8方向にセンシング可能でも、PSDセンサーはその指向性の高さ故に、45°の旋回によっても、攻撃射程内にある目標を常時捉えることができていない。また、PSDセンサーは感知距離が最大80cmであるが、距離が離れると、指向性が高いので、なかなか目標を捕捉できない。

自律バトルシステムのこれらの欠点をカバーし、さらに強化するために超音波センサーの導入を検討した。検討の結果、小型超音波センサー MX001 LV-MaxSonar EZ0〜4 が自律バトルセンサーシステムに最適であり、4方向に搭載しても特段の問題なくセンシング可能であることが分かった。


(3)ハイブリッドセンサーシステム搭載 Part 1
〈PSDセンサーと超音波センサーの複合センサーシステム〉


「BLACK TIGER NEO」に MANOセンサーボードHRP100を搭載 して自律バトルシステムを構築してきた。PSDセンサーは15cm〜80cmの捕捉範囲が自律バトルには適しているので使い込んできたが、PSDは指向性が高く、位置を正確に捕捉できるというのが長所である反面、捕捉範囲が狭いという欠点があった。実戦では特に、攻撃可能な至近距離の真前にあるいは真横に目標があっても捕らえられないことが多く、この欠点を補うために、PSDを同方向に平行して複数配置する方法を試行したが、干渉が生じるため、個数を増やすことで必ずしも捕捉範囲を広くできないことが分かった。このため確実な捕捉システムが必要となっていた。

高性能の小型超音波センサーMX001 LV-MaxSonar EZ0〜4は、感知範囲が広角から狭角まで5種類あり、目的に応じて使い分けが可能であるうえ、従来の発信機と受信機が一体となり非常にコンパクトな大きさである。また、近いほど出力値が小さく、遠いほど大きくなっており、近距離では正確な距離測定が可能な仕組みとなっている。電源も3.3V〜5Vまで使用でき、出力もデジタル、アナログなど汎用性が高い仕様となっている。

小型超音波センサーは複数を使用するに当たっては干渉が生じる可能性があるが、4方向に使用して見た結果、近距離では特段の問題は生じないことが分かった。4個を前後、左右に各1個ずつ配置して感知させた結果は「小型超音波センサー搭載」にまとめた。この試験結果は小型超音波センサー4個のシステムはPSDセンサーシステムとほぼ同等な能力を発揮する可能性を示唆している。EZ4(狭角タイプ)は指向性がPSDと遜色ない位に高いので、捕捉・攻撃に適したセンサーといえる。EZ1,EZ2(広角)タイプは捕捉が不安定な印象があるが、PSDと比較して捕捉範囲が広い。

このようなPSDセンサーと小型超音波センサーの長所を生かし、欠点を補う目的でハイブリッドセンサーシステムを作成した。ハイブリッドセンサーシステムにより一定の感知能の向上が図られた。また、PSD優先にセンシングする方法と超音波センサー優先にセンシングする方法も検討し、競技会場の照明環境により使い分けることにより、センシングの向上が図られた。


(4)ハイブリッドセンサーシステム搭載 Part 2
〈PSDセンサーと超音波センサーの複合センサーシステム再構成〉


当初はPSDセンサー4個(前後左右)配置していたが、45°間隔で8方向をカバーすべく、PSDセンサーを8個に増設することを試みた。MANOIセンサーボードのセンサーへの電流は最大750mAで、1個当たり150mAが必要なPSDセンサーは5個接続が限界であった。そのため、3.3Vの補助電源ボードを搭載することにより、PSDセンサーを8個に増設できた。

その後、自律バトルのセンシングをより確かなものとするために、超音波センサーを前後左右4個搭載して、ハイブリッドセンサーシステムとした。センシング感度は確実に上がったが、必ずしも期待したレベルに達していない。

特に、前後に2個ずつPSDセンサーを搭載しているが、PSDセンサーによる検出感度が必ずしも顕著に上がっていない。PSDセンサーは当初の前後1個ずつの方が目標の検出感度が良かった感がある。PSDセンサーを同方向に近づけて2個設置すると干渉して感度が低下する懸念がある。

そこで、PSD前後左右各1個の4個、超音波センサー前後左右各1個の4個のシンプルなハイブリッドセンサーシステムとした。このシステムでは、PSDセンサーが1個150mAx4個で600mA、超音波センサーが1個2mAx4個で8mA、あと3軸加速度センサーHRP105が7mAで、合計615mAとなり、補助電源ボードなしでMANOIセンサーボードのみで十分に対応可能であった。また、配線が単純になりトラブルも減少した。さらに、センサー数が少なくなったが、従来と同等以上のセンシング能があった。


(5)ハイブリッドセンサーシステム搭載 Part 3
〈自律攻撃に特化したPSDセンサーと超音波センサーの複合センサーシステム〉


「BLACK TIGER NEO」はハイブリッドセンサーシステムを搭載した自律バトル機として自律バトル機能の向上を図ってきたが、製作当初の構造を踏襲しているため腕のリーチが短く、最近のROBOーONE規格の大型機体との対戦にハンディが目立つようになった。

また、ハイブリッドセンサーシステムにも、センサー取り付け位置による大型機体の感知・捕捉の限界、ラグタイムの問題などがあり、特にプロポ操縦の大型機体との対戦には不向きな面があった。

これらの問題点を解消するために、以下のコンセプトで、「BLACK TIGER α3 (ACE)」を製作することとした。すなわち、

(1)自律攻撃システムを補助攻撃システムとして備える大型バトル専用機体(ROBO-ONE規格最大の30p腕を持ち、プロポ操縦と自律バトルシステムが相互に補完するセミ自律バトルシステム機体)とする。

(2)移動はプロポ操縦を基本とする。攻撃はプロポ操縦も可能とするとともに、PSDセンサー4個と超音波センサー4個による自律ハイブリッドセンサー攻撃システムを補助攻撃システムとして備える。

(注)攻撃のみに特化するので、起上、捕捉・接近、探索のセンシングが不要になるため、センサーシステムが単純化でき、高速化(ラグタイムの縮小)も期待できる。


自律バトル「BLACK TIGER NEO」動画集


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