新型4長脚ロボットの製作 Part 1 「BT-L46」



BT-L45は、開発中であった2足歩行ロボット「BLACK TIGER ZETA」 をベースとして製作した新型変則5脚機体(16軸)である。この機体において、BT-L5(KHR-1をベースとした新型変則5脚ロボット:10軸)及びBT-L15(KHR-1をベースとした新型変則5脚ロボット:15軸)で検証した変則5脚による特異な移動モーションを実現し、これにより、第6回KHRアニバーサリー多脚ロボットコンテスト(2010.6.5)に優勝することができた。

また、変則5脚機体の安定性を生かして、ミニ電動ガン、被弾センサー、レザー照準器などを装備してロボットによるサバイバルゲーム(ロボでサバゲ)に参加してきた。

一方、「BT-L45」より機動性の高い機体を目指してアスリート競技向けに製作した新型4脚機BT-L44は、KRS-4013HVと脚の長さを長くすることによって運動性・機動性の向上を図った結果、第5回KONDOランド障害物レース(2012.1.8)及び第6回KONDOランド障害物レース(7/21/2012)に優勝することができた。

ここでさらにBT-L45を抜本的に改造し、BT-L44の運動性能をさらに高めたBT-L46を製作することとした。この機体により4脚による高速走行(歩容)を実現したい。

1.機体設計のコンセプト

新型4長脚機体の構造は、4足歩行の哺乳類を模倣して、脚の膝関節(サーボ)の上部と下部の長さをほぼ同じ長さに、また、胴体(本体フレーム)も細長の長方形とする。

2足歩行ロボットでは2足の軸間の距離を長くすると、歩行(静歩行及び動歩行)が安定しないので、この4脚機体も進行方向に対しての軸取付の脚間は大きくしないこととした。脚間は必要に応じて脚を広げることで対応できる。

1)高速移動を可能にする4長脚ロボット(レッグプレートSC-4000L1 ):3軸x4=12軸
@KRS-4013HV 3x4=12 
ASC-4000L1 4x4=16 
BSC-4000B1 2x4=8 
CSC-4000ARM-L(Long Arm) 1x4=4 
DSC-4000ARM(Short Arm) 1x4=16 

2)フレームは「BT-L44」より大きめの縦長のフレーム(SC-4000B+Melissaヨー軸以下部分)
3)胴体ヨー軸を備え、起上り可能:+1軸
4)サバゲにも使用可能(ミニ電動ガン設置可能)
5)サーボ配置は「BT-L44」を踏襲(モーションの準用可能)

追加オプション(今後の状況と目的に応じて)
6)前部に頭部(腕機能を備える)にもなる頭脚を配置  3軸
7)後部に尾部(頭部とのバランス)になる尾脚を配置  3軸
8)自律機能搭載(地磁気センサー搭載)
9)音声ユニット搭載

2.BT-L46の製作

@BT-L45の胴体ヨー軸以下の部分を取り外して、BT-L46の本体部分(別途SC-4000BFをベースに製作予定)に接続できるか検証した。また、取り付ける長脚が真後ろと真横へ90°動作可能か検証した。

概ね実現可能と判断し、ヨー軸のサーボホーンをBT-L46(別途SC-4000BFをベースに製作予定)の本体部分に接続しやすいように付替えた。



A新機体に使用する長脚を試作した。



B長脚をヨー軸以下の部分に取り付けて真後ろと真横へ90°動作可能か確認した。



C胴体部分を製作した。



D機体の前半部分を組み立てた。



E機体の後半部分を組み立てた。



F機体の前半部分と後半部分を繋ぎ機体を組み立てた。



G配線。「BT-L44」のモーションを準用できるように BT-L46Channel配置 を「BT-L44」と同じにした。

H前半部分の脚取付位置と後半部分の脚取付位置の高さが若干ずれているので、高い位置の足先のアームをロングアームに交換して、脚長を同じ長さに調整した。



I火入れ。「BT-L45」のスタートアップモーションに替えて「BT-L44」のスタートアップモーションをインストール。トリムを調整。屈足終了モーションをインストール。これで「BT-L46」のプロトタイプが完成した。



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KHeadの搭載/固定方法。KRS-2350HV用サーボアームとKRS-4000番サーボアーム2本及び台付ネジで固定することとした。



L充電池収納場所の作成。KHR-1のHR-010サーボブラケットBを2個を機体フレームの下に取り付けて充電池の収納場所を作成した。新しい少し大きめのサンダーパワーの充電池もぴったり収まる。取り外しが容易なマジックテープで固定する。



「BLACK TIGER L46」 BT-L45を抜本的に改造 2014.3  





(新型4長脚機体:13軸)


3.BT-L46の問題点

@胴体ヨー軸を搭載したがビス4本(BT-L45では7本)でサーボに固定してあるのみ。二足歩行型では上下に力が加わるので荷重が小さいが、4足歩行では横方向に力が加わるので荷重に耐えられるか懸念。特に低姿勢時に注意。
A脚にレッグプレートSC-4000L1 を使用したが膝サーボが3300までしか曲げられない。歩行モーション作成には影響ないが、脚が折りたためない。


4.サバゲ装備の搭載と配線

@ミニ電動ガンを機体上部に設置
Aレーザー照準器を電動ガンの右に設置して配線



Bミニ電動ガン発射制御回路を電動ガンの後方下面に設置して配線



C被弾センサーのアルミ箔枠上下を電動ガンの後部左右に設置



D被弾センサー回路を機体右前方側面に設置して配線



Eカメラを機体前方右に設置



F予備弾倉をミニ電動ガンの上部に設置して、レーザー照準、ミニ電動ガンの発射、被弾センサーの感度などの動作を確認



5.ロボットサバイバルゲームでの性能評価

(1)第20回ロボットサバイバルゲーム

新型4脚機「BLACK TIGER L46」で第20回ロボでサバゲ(2014.4.27)に参加した。参加機体は、写真左から「BT-L46」「サクラ2号」「ファミタンク」、「電龍」「スタローン」「D-Tank」と「飛龍」の7機。



第19回では被弾センサーが機体のサバゲ動作時に突然反応して機体がダウン。サバゲを繰り返すに従い、ダウンが顕著になり、最後のバトルロイヤルではダウンが回復しなかった。事前調整したところ、特段の問題はなく、ミニ電動ガンを発射してもダウンが発生しないことを確認した。

今回は7機と参加機体が多かったので、カメラの無線が混信して映らない場面があったが、概ね操縦が可能であった。2回連続で参加したので、操縦の勘が掴めてきた。

コンバットシューティング


殲滅戦1


殲滅戦2


フラッグ戦1


フラッグ戦2


ランブル戦1


ランブル戦2


今後の改善点
@旋回モーションが大きすぎて照準を合わせるのが難しく、接近しないと標的に合わせることができなかった。旋回角度を小さくする。照準の用のモーションの再検討も必要。
A移動中に転倒してしまった。脚を前後にそろえているので不安定になっている。何らかの対策が必要。横に転倒する防止策を検討する。

(2)第21回ロボットサバイバルゲーム

新型4脚機「BLACK TIGER L46」で第21回ロボでサバゲ第21回ロボでサバゲ(2014.6.29)に参加した。参加機体は、写真左から「飛龍」「ファミタンク」「BT-L46」「サクラ2号」「電龍」「ニコイチ」「電龍」の6機。



第21回ではミニ電動ガンを事前調整した際に、弾道筒を上下逆に取り付けたために弾を発射できず、急遽修理。田中さん、コイズミさん、Gonsさんにお世話になった。感謝。

その後は特段の問題はなかったものの、6機ではカメラの無線が混信して映らない場面があったが、概ね操縦が可能であった。

Combat Shooting: BLACK TIGER L46


Extermination Battle 1: Hiryu, BLACK TIGER L46 and Sakura-2gou vs Denryu, Famitank and Nikoichi.


Extermination Battle 2: Hiryu, BLACK TIGER L46 and Sakura-2gou vs Denryu, Famitank and Nikoichi.


Duel Fight 2: BLACK TIGER L46 vs Nikoichi


Tochka (Pillbox) Battle 2: Denryu and BLACK TIGER L46


Flag Battle 1: Denryu and Famitank vs Sakura-2gou and BLACK TIGER L46


Rumble Battle: Hiryu (Koizumi), Famitank (Ninagawa), BLACK TIGER L46 (IKETOMU), Sakura-2gou (Yoshisda), Nikoichi (9th) and Denryu (Gons)


今後の改善点
@修理の際の機体のスタートモーションが高HPに設定してあったので、修理の調整がしにくかった。⇒低HP(スタートアップモーション前後3)に設定を変更。

Aカメラ電波の発信を改善するためと、光センサーの前を覆わないあために、カメラをミニ電動ガンの横から前方上に移設することとした。

(3)第26回ロボットサバイバルゲーム

「BT-L46」で第26回ロボットサバイバルゲーム(2015.3.29)に参加した。会場は模型塾。参加機体は、BT-L46(IKETOMU)、電龍、サクラ2号(吉田)、タイガー改2の5機。コンバットシューティング5、ハンディキャップ戦2、1対1戦4、殲滅戦5、ランブル戦2の18ゲームが行われた。



「BT-L46」のサバゲーシステム;ミニ電動ガン、レーザー照準器、被弾センサー、カメラシステム。


コンバットシューティング 1: BLACK TIGER L46 (IKETOMU),1分54秒; 1 point.


ハンディキャップ戦 1: BT-L46 (ハンディキャップ) vs タイガー改2、時間オーバー


1:1戦 2: BT-L46 vs SR-1. BT-L46の勝利、1分9秒。


1:1戦 3: BT-L46 vs タイガー改2. BT-L46の勝利、1分15秒。


殲滅戦 1: 青組 (BT-L46, SR-1) vs 赤組(電龍, タイガー改2). 赤組の勝利、1分7秒。


殲滅戦 2: 青組 (BT-L46, サクラ2号) vs 赤組(電龍, タイガー改2).赤組の勝利、1分13秒。


殲滅戦 3 : 1対3、電龍 vs BT-L46, SR-1、タイガー改2、電龍の勝利、1分21秒。


殲滅戦 4: 青組 (電龍, サクラ2号) vs 赤組 (BT-L46, タイガー改2).青組の勝利、1分22秒。


殲滅戦 5: 青組 (電龍, SR-1) vs 赤組(BT-L46, タイガー改2, + スナイパー田中), 時間切れ。


ランブル戦 1: BT-L46、電龍、サクラ2号、 SR-1 、ターガー改2。勝者はサクラ2号。


ランブル戦 2: BT-L46、電龍、サクラ2号、 ターガー改2。時間切れ。


久しぶりのサバゲであったが、ロボットは特段のトラブルもなく 、ほぼ全戦闘に参加できた。

6.「BT-L46」の総括

2009年12月から多脚機体の製作を開始し試作機「BT-L5」、KHR改造機「BT-L15」で変則5脚ロボットの動作が実証されたので、ハイパワーのサーボを使用してより多くの機能を搭載可能とする新型変則5脚ロボット「BT-L45」を製作した。

「BT-L45」の運動性は当初想定したとおりの性能を発揮し、第6回KHRアニバーサリー多脚ロボットコンテストで優勝を果たした。

また、変則5脚機体の安定性を生かして、ミニ電動ガン、被弾センサー、レザー照準器などを装備してロボットによるサバイバルゲーム(ロボでサバゲ)に参加した。サバゲの装備をフル搭載しても運動性に特段の問題はなく動作した。

一方、多脚ロボット用の障害物コースの踏破については、大型の機体では運動性が不足することが明らかとなった。そのため、運動性の優れた新小型多脚機「BT-L44」を製作した。

「BT-L44」は、KRS-4013HVと脚の長さを長くすることによって運動性・機動性の向上を図った結果、第5回KONDOランド障害物レース(2012.1.8)及び第6回KONDOランド障害物レース(7/21/2012)でも優勝して、2連覇を達成し、「BT-L44」の高運動性が証明された。

そこでさらに「BT-L45」を抜本的に改造し、「BT-L44」の運動性能をさらに高めた新型4長脚機「BT-L46」を製作することとし、この機体による4脚による高速走行(歩容)を目指すことした。

「BT-L46」は、4足歩行の哺乳類を模倣して、脚の膝関節(サーボ)の上部と下部の長さをほぼ同じ長さに、また、胴体(本体フレーム)も細長の長方形とした。さらに胴体にはヨー軸を加えて、サバ上げ装備を積載しやすくするとともに起上りを可能とした。

また、追加オプションとして、前部に頭部(腕機能を備える)にもなる頭脚を配置(3軸)、後部に尾部(頭部とのバランス)になる尾脚を配置(3軸)、自律機能搭載(地磁気センサー搭載)、音声ユニット搭載など、多機能搭載を想定した。

「BT-L46」は「BT-L44」のモーションをそのまま使用できたので、「BT-L44」とほぼ同等の運動性を発揮した。また、サバゲの装備の積載にも特段の問題はなかった。ただ、「BT-L44」と同じく傾斜地では横へ転倒しすい傾向が認められた。

一方、運動性は「BT-L44」を超えることができなかった。これは「BT−L44」のモーションを踏襲していることもあるが、機体の重量が増加したこと、脚にレッグプレートSC-4000L1 を使用したので膝サーボが3300までしか曲げられず、モーションの作成が制限されたことなどが上げられる。

「BT-L46」の機体では、これ以上の運動性の向上が見込めないこと、ロボットバルゲームに参加できなくなったことなどから、「BT-L46」は目的を終えたので解体することとした。サバゲでの健闘に感謝。


新型変則5脚ロボットの製作 Part 1「BT-L5」
新型変則5脚ロボットの製作 Part 2「BT-L15」
新型変則5脚ロボットの製作 Part 3「BT-L45」
新型変則5脚ロボットの製作 Part 4「BT-L45」
新型変則5脚ロボットの製作 Part 5「BT-L45」


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