マイロボット「BLACK TIGER」の製作 Part 6

KHR-1ベースの「BLACK TIGER 7」の足構造などを改造してKHR-2 Like の「BLACK TIGER 8」を製作した。「BLACK TIGER 8」はKHR-2のサンプルモーションが動作可能となり運動性能が飛躍的にUPした。また、MANOIセンサーボードを搭載して自律ビーチフラッグ対応可能とした。

一方、自律バトルも可能とするためにはセンサーを4方向に配置する必要があるが、MANOIセンサーボードのみではPSDセンサー搭載が5個に制限される。これを解決するために「BLACK TIGER NEO」の自律バトルシステムを踏襲して3.3V補助電源ボードを搭載したPSDセンサーによる自律バトルシステムを構築することとした。

1.加速度センサー搭載

MANOIセンサーボードの誤作動の防止のために「BLACK TIGER 8」に加速度センサーRAS-2を搭載。胴体内スペースへの搭載を検討したが、ジャイロセンサー2個、MANOIセンサーボード用加速度センサーをすでに設置しており、水平に設置できるスペースがないので左肩の上に設置した。

屈足両起上モーションに自動判定を組み込んだモーションを作成。これでMANOIセンサーボードの誤作動の防止が可能となった。



2.3.3V補助電源ボード搭載

「BLACK TIGER 8」へのセンサー搭載を検討してきたが、3.3V電源ボードを追加してPSDセンサーの搭載数を増やすこととした。新たに3.3V電源ボードを1個作成した。電源ボードは「BLACK TIGER NEO」に搭載したものと同じもの。ただし、少しコンパクトに作成して、RCB-3とMANOIセンサーボードの間のスペースに両面テープで設置した。



PSDセンサーは4個分をMANOIセンサーボードから電源を供給し、追加4個分を3.3V補助電源ボードから電源を供給する。補助電源ボードの電源は「BLACK TIGER 8」の余分のCHから供給。

「BLACK TIGER NEO」はサーボへ23CH、MANOIセンサーボードへ1CHで24CHを使用していたので補助電源ボードへのCHがなく、平形9Vから電源を供給せざるを得なかった。「BLACK TIGER 8」ではサーボで18CH、MANOIセンサーボードへ1CH、補助電源ボードへ1CHでも20CHで十分ゆとりがある。また、電池をLiPO 1320mAhに変更したので電源も十分で特段の問題はないと考えられる。

3.PSDセンサー設置

PSDセンサーの配置は、左右腕横2個、左右腕前面2個(MANOIセンサーボードから電源)、左右足前面2個、左右腕後面2個(3.3V補助電源ボードから電源)の合計8個。「BLACK TIGER 8」に3.3V電源ボードを搭載して、PSD4個を接続した。

増設分のPSDセンサーの配線にもMANOIセンサーケーブルを使用することとし、センサーコネクタから信号線を除く2本を抜いて、そのままMANOIセンサーボードに接続したので、従来の購入したコネクタを信号線に接続した場合よりも接続の信頼性を高めることができた。また、2本の電源線には近藤科学のコネクタを取り付けてこれを3.3V電源ボードに接続した。

MANOIセンサーボードへ直接接続した4個ともにPSDへの通電とセンサーのセンシングを確認。MANOIセンサーコードとコネクタを利用したので信頼性の高い配線となった。「BLACK TIGER 8」自律バトル仕様 は以下のとおり。





4.自律バトルセンサールール

(1)センサールールBシリーズ基本設定
@PSDセンサーを四角面配置(腕の前後横に設置)。前面4個、後面2個、左右各1個、合計8個を配置。なお、センサー専用コネクタを使用して信頼性を向上。小型超音波センサーの使用なし。
A捕捉のセンサー設定範囲を500〜1200、探索のセンサー設定範囲を0〜500。
B上向起上のセンサー値を0〜1200、下向起上を3000〜4095に設定。
C攻撃は近接攻撃1800〜4095の1段階攻撃のみ。
D横移動の歩数を3歩。前進の歩数を4歩。
E起上モーションの誤作動はRCB-3へ接続した加速度センサーRAS-2によるチェックで防止。

(2)センサールールB1基本戦略:戦略1のみのシンプルな設定
状況1:PSDセンサー2個によるスタート、前進後、状況2へジャンプして自律バトルモードへ
状況2:転倒判定、近接攻撃、捕捉接近、探索(すべてモーション実行後は状況3へジャンプ)
状況3:転倒判定、近接攻撃、捕捉接近、探索(すべてモーション実行後は状況2へジャンプ)

5.第5回KHRアニバーサリー自律ビーチフラッグ

第5回KHRアニバーサリー(浅草ROX3スーパーマルチコート)に「BLACK TIGER」で参加。「BLACK TIGER」は2004年8月に購入した「KHR-1」をベースにHV化しさらに足構造をKHR-2HV化した「BLACK TIGER 8」。第1日目6月13日(土)は「自律ビーチフラッグ」のエキスパートクラスに参加。前週の事前調整時と同じくスタート、起き上がり、180°旋回、フラッグへの接近の一連のモーションのうち、180°旋回が不正確で、正確にビーチフラッグに接近できなかった。

予選Bりーグで1回戦ではキャプテンSEVAWT(東海大学ロボカッププロジェクト)に勝利。これは対戦相手が自律起動できずにほぼ不戦勝。ただ「BLACK TIGER」もフラッグを倒せず記録は173cm。2回戦は玉2(玉造工業B)で2回ともフラッグを先に倒されて完敗。「BLACK TIGER」はフラッグを倒せず記録は145cm。1勝1敗で予選敗退。

自律ビーチフラッグは超音波センサーとPSDセンサーのハイブリッドシステムでなければフラッグを再現性を高く倒すことは難しい。今回のビーチフラッグはPSD8個(前4、右横1、左横1、後2)のみで臨んだが、スタートからの一連の動作でビーチフラッグの50cm以内に接近できないと、PSDセンサーの捕捉外となるため、フラッグを倒すことは不可能に近い。やはり超音波センサーで方向をある程度離れた距離を感知できないとフラッグに正確に接近できない。また、競技会当日午前中は日光が会場の半透明の屋根にあたりその透過光がPSDに影響を及していたようで、午前中の各機体のフラッグの捕捉が悪かった。

また、電源にリポ1320mAHを使用していることからハンチングが激しくセンサーボードに搭載している加速度センサーが誤作動して起き上がりモーションが再生されることが再三認められた。リポはKHRにはオーバースペックで300mAhの方が適しているかもしれない。

今回、自律ビーチフラッグに参加して、PSDだけでは外光の影響をかなりうけることが再確認できた。やはり自律システムはPSDセンサーと超音波センサーとのハイブリッドシステムにする必要がある。

「BLACK TIGER 8」には自律ビーチフラッグ以外にも自律バトルのプログラムも作成してあったが、今回の自律KHRバトルはセンサーボードがKCB-1に制限されていたため、参加できず残念であった。

6.自律システムの撤去

自律機能(捕捉能力)向上のために、補助電源ボードを搭載してPSDセンサーを増やして8個搭載したが、「BLACK TIGER 8」のサーボトルクに対して、自律システム全体の負荷が大きく、また、期待したほどの捕捉能の向上が認めれなかったので、自律システムを撤去することとした。これにより「BLACK TIGER 8」はKHR-2HV化しハイトルクサーボ4個を換装したSRC機体として、KHRクラスサッカー、SRCクラスバトルなどの専用機とすることとした。

今後は自律システム搭載は「BKACK TIGER NEO」などオープンクラス機のみとしたい。対プロポでの自律バトルにはKHRでは負荷が大きすぎるし、作成できる攻撃モーションにも限界がある。ただ、今回発表になったKHR-3HVでは10個のアナログポートがあることから自律バトルが十分可能と思われる。

「BLACK TIGER 8」自律システム撤去 2009.6

KHR-1 KHR-2HV化(KRS-2350HV×4):KHR Standard 機


7.オーバーホールとバスタブソール大の装着

「BLACK TIGER 8」については、2009.12.26:第18回KONDO CUP in ROBOSPOT(「関東支部」チーム「BLACK TIGER 8」予選Bリーグ 1勝1分 2位)のあとに、足裏をバスタブソール大に替えて、「BLACK TIGER 9」として、2010.5.1:第20回KONDO CUP KHRクラスに「関東支部」チームメンバーとして臨んだがモーションなど調整が不十分であった。2010.6.6:第6回KHRアニバーサリーの第21回KONDO CUP KHRクラスにも同じ機体「BLACK TIGER 9」で臨むこととしたが、脚部のKRS-788HV 6個のギヤを金属ギヤを含めてすべて新しいものに交換しオーバーホールも行った。

「BLACK TIGER 9」バスタブソール大&オーバーホール 2010.5 

KHR-1 KHR-2HV化(KRS-2350HV×4):KHR Standard 機



マイロボット「BLACK TIGER 」の製作 Part 1
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