マイロボット 「BLACK TIGER NEO 」 の製作 Part 8


自律バトル能力UPのために3.3V電源ボードを製作して搭載できるPSDセンサー数を増やし、さらに小型超音波センサーを搭載するなどしてきたが、「NEO」の自律バトルシステムは、PSDセンサーと小型超音波センサーを組み合わせたハイブリッドセンサーシステムにより一応の完成を見た。これらのknowhowを生かしつつ、より高性能な自律バトルシステムの構築を目指す。

1.オーバーホール(overhaul)の実施

「BLACKTIGER NEO」は2006年12月に立ち上げて2007、2008、2009年7月まで2年半使用してきた。2009年1月ごろから、全体的なガタつき、ハンチングが目立つようになってきて、状態が徐々に悪化してきた。移動モーション(特に前進と後退のモーション)が不安定になり、カーペット上などでは引っかかり転倒しやすくなった。

サーボの修理は個別には行ってきたが、全サーボのオーバーホールはしていないので、2009年7月サーボ21個をすべてオーバーホールをすることとした。オーバーホールによりサーボ21個すべてのギヤを交換した。

サーボは2年ぐらいでオーバーホールが必要であり、サーボのメンテナンスが重要なことが分かった。

2.再構築の考え方

オーバーホールを済ませたサーボ、パーツにより従来の自律システムを搭載した「NEO」を再構築することとした(従来の「NEO」のknowhowを生かす、「ZETA」では再現不可)。

また、「NEO」のオーバーホール前後に得られた知見(PSDセンサー誤作動防止のための超音波センサー優位のセンサールール使用、自律動作中の低速シリアルによる無線操縦による危機回避:セミ自律バトルシステムなど)を応用すると共に、再構築に伴い、腕を最大(120%)まで伸ばす、広角タイプ超音波センサーの使用などの改良を行う。

さらに、センサーボード、電源ボードなどの効率的な収納のため、KHR-3HVバックパックの採用も検討する。

3.NEOの再構築

(1)KHR-3HVバックパック搭載

KHR-3HVのバックパックを取り付けて、RCB-3HVを右側にMANOIセンサーボードを左側に設置。その間にセンサー用補助電源ボードを設置予定。従来のボードカバーより補助電源ボードの設置場所少し狭いので、補助電源ボードを小さくする必要あり。また、ピッチ軸のジャイロセンサーを補助電源ボードに取り付けていたが、これも設置場所がない。ピッチ軸のジャイロセンサーは、ロール軸のジャイロセンサー、加速度センサーと共に、胴体内に設置したい。

バックパックの「NEO」への搭載では、電源ハーネスやサーボ延長コードのメス側を取り付けるトップパネルは取り付けない。その開いた窓から腕からの配線を入れるとRCB-3HVへの接続が容易となる。構造的にも全く問題ない。ただ、アンテナをどこに取り付けようか適当な場所が見つからない?



センサー以外のサーボの配線を再構成。トリムの調整後、ホームポジション、スタートアップモーションの動作を確認。無線受信器を取り付けて無線操縦での動作を確認。再構成の第1段階を終了。

「BLACK TIGER NEO」バックパックセットA搭載 2009.9 


(2)ジャイロセンサー、加速度センサーの設置

ジャイロセンサー(ピッチ軸とロール軸)及び加速度センサーを機体内部(R-Blueでは電池収納場所)に従来どおり、加速度センサーとジャイロ(ロール軸)を重ねて、電点スイッチの上に両面テープで固定。従来はバックボードの補助電源ボードの下部に設置してあったジャイロセンサー(ピッチ軸)を同じく機体の内部に両面テープで設置。電源を入れて動作を確認。

(3)自律バトル用のセンサーの設置

自律バトル用のPSDセンサー、超音波センサーの設置。超音波センサーの配線のホットボンドがはがれていたので補修して固めた。従来の場所に再設置。また、加速度センサーは従来、胴体内に設置していたが、バックパックの下部に配線も短くてすみコネクタの状況の把握も容易で絶好の場所があり、そこに設置した。センサーの動作を確認。



(4)機体の改良

胴体ヨー軸を旋回させたときのコードがひっかかるので、後の下部のサーボカバーの取り付けのための0.5cmの台付きネジを1cmのものに交換してコードがとおる空間を広げた。幾分旋回が容易になった。また、手先を取り付けている台付きネジを1cmのものから1.5cmに交換して腕を長くした。座るとちょうど地面に着くか着かない位の長さになった。これで再構築が完了。



これで、「BLACK TIGER NEO」のサーボオーバーホール後の再構築が完了した。

「BLACK TIGER NEO」オーバーホール後再構築・バックパックセットA搭載 2009.9 


4.バスタブソール大装着

第17回ROBO-ONE規格に合致するように「BLACK TIGER NEO」の脚の長さを長くした結果、「バスタブロール大」が使用できることが分かったので足裏を「バスタブソール大」に交換した。今までのバスタブソール小にラージソールを取り付けたものと比べて前後は若干短くなったが、横幅が長くなった。2010.5.22 第4回ROBO-ONE SOCCERに「関東支部」メンバーとして「ナガレブラックタイガー(BLACK TIGER NEO)で参加した。足裏は滑り止めは装着しないで滑り足とした。

「BLACK TIGER NEO」バスタブソール大装着 2010.5 

(自作機体:Open Class 機:自律バトル機能搭載)


5.自律バトルシステムの再構成

「BLACK TIGER NEO」の自律バトルシステムの再構成を行うこととした。「BLACK TIGER NEO」の自律バトルシステムの経過は以下のとおり。

当初はPSDセンサー4個(前後左右)配置していたが、45°間隔で8方向をカバーすべく、PSDセンサーを8個に増設することを試みた。MANOIセンサーボードのセンサーへの電流は最大750mAで、1個当たり150mAが必要なPSDセンサーは5個接続が限界であった。そのため、3.3Vの補助電源ボードを搭載することにより、PSDセンサーを8個に増設できた。

その後、自律バトルのセンシングをより確かなものとするために、超音波センサーを前後左右4個搭載して、ハイブリッドセンサーシステムとした。センシング感度は確実に上がったが、必ずしも期待したレベルに達していない。

特に、前後に2個ずつPSDセンサーを搭載しているが、PSDセンサーによる検出感度が必ずしも顕著に上がっていない。PSDセンサーは当初の前後1個ずつの方が目標の検出感度が良かった感がある。PSDセンサーを同方向に近づけて2個設置すると干渉して感度が低下する懸念がある。

(1)センサーの配置とセンサーボードチャンネル配置

今回はPSD前後左右各1個の4個、超音波センサー前後左右各1個の4個のシンプルなハイブリッドセンサーシステムとした。このシステムでは、PSDセンサーが1個150mAx4個で600mA、超音波センサーが1個2mAx4個で8mA、あと3軸加速度センサーHRP105が7mAで、合計615mAとなり、補助電源ボードなしでMANOIセンサーボードのみで十分に対応可能である。また、配線が単純になりトラブルも減少する。さらに、センサー数が少なくなりセンシングの効率アップも期待できる。

前後のPSDセンサーと超音波センサーの搭載位置を変えて配線した。センサーボードには、超音波センサーを正面左から11、前面12、右13、後14、PSDセンサーを正面左から28、前面29、右30、後31、3軸加速度センサーを32に接続し、PSDセンサー及び超音波センサーのセンシングを確認した。センサーの機体上の配置は新BLACK TIGER NEO センサー配置図 にまとめた。



(2)PSDセンサー誤作動防止カバー設置

PSDセンサー4個に誤作動防止のために上部に黒ビニールテープと両面テープでカバーを取り付けた。これで照明による誤作動が防止できる。

(3)センサールールの作成

PSDとUSS(小型超音波センサー)のハイブリッドシステムで、状況1スタート、状況2戦術1、状況3戦術2とした。状況1で自律システムを手かざしで自律動作開始、状況2と状況3の間をジャンプさせながら自律バトルを行う。状況2と状況3の戦術(攻撃モーション、退避モーションなど)はできるだけ異なるように設計した。また、各状況では、転倒、近接、中接、捕捉、探索の順にセンシングを行う。

1)PSD優先センシングルール
PSDセンサーが近接、中接、捕捉とらせん状にセンシングを行い、次いでUSSが近接、中接、捕捉をらせん状にセンシングを行い、最後にPSDが探索を行う。

2)USS優先センシングルール
USSセンサーが近接、中接、捕捉とらせん状にセンシングを行い、次いでPSDが近接、中接、捕捉をらせん状にセンシングを行い、最後にPSDが探索を行う。

PSD優先とUSS優先のどちらを使用するかは会場の状況で判断する。

(4)モーションの修正

PSDとUSSのハイブリッドセンサーシステムで、PSD優先とUSS優先のセンサールールの最終動作をチェックしところ、左右横移動の不調が判明したので、左右横移動モーションをチェックし、最新の左右横移動モーションに置き換えた。他の移動モーションは特段の問題なし。これで自律バトルハイブリッドシステムの再構成が完了。

「BLACK TIGER NEO」自律バトルシステム再構成 2011.3 

(自作機体:Open Class 機:自律バトル機能搭載)


(5)再構成自律バトルシステムの検証

ROBOT JAPAN 1stに参加し、再構成自律バトルシステムの検証を行った。ROBOT JAPAN 1stはロボットダンス部門、ロボット一発芸部門、二足歩行ロボット格闘競技部門(フライ級2kg以下、バンタム級3kg以下)が行われた。今回は、ロボット一発芸部門と二足歩行ロボット格闘競技部門(バンタム級3kg以下)にエントリーしたが、すべて自律動作とした。

今回の会場は、自律動作の障害になる照明(特にフィラメント系の照明はPSDセンサーが誤作動しやすくなる)が前方左右と上方に設置されていた。さらに上部には加えて赤いライト、これもPSDセンサーの誤作動の原因となる。



今回は事前に照明の影響を考慮して超音波センサーによるセンシングをPSDセンサーよりも優先したプログラムを使用して対策を講じた。さらに上部照明については、PSDセンサーの上部にカバーを取り付けて対策を講じてあった。一方、前方の照明は防ぎ様がなかったが、自律動作の時には照明を落とすご配慮をいただいた。

1)自律バトル

二足歩行ロボット格闘競技部門バンタム級は1回戦クロムキッドと対戦したが、クロムキッドのギヤかけで不戦勝。運よく二回戦に進出。ルカヌス(優勝機)に3ノックダウンで完敗。



2)自律動作デモ

再構成したハイブリッドセンサーシステムの自律動作の検証に一発芸にエントリーした。一発芸の内容はステージ上に配置した4本のカバーを取り付けたペットボトルを自律で倒すこと。




3本は順調に倒したが最後の4本目から機体が離れすぎたと思ったが、戻ってきて体あたりで4本目を倒すことができた、まさに劇的な終了、自律への執着が「NEO」にも移ったようだった。その結果、5機出場したが、なんと優勝となった。

3)ROBOT JAPAN 1stにおける自律バトルシステムの検証結果と今後の課題

@照明がほとんどフィラメント系ライトであったが、特段の誤作動は認められなかった。照明による誤作動の防止において、超音波センサー優先のセンサールールの有効性が示された。また、PSDセンサーの上方のカバーも有効であったと思われる。

APSDセンサーは4方向4個でも特段の捕捉能の低下は認められなかった。

B距離に応じた適切な攻撃がされなかったので、超音波センサーの距離と攻撃モーションを再確認し、修正する必要がある。

Cリンク脚の構造はセンサーによる捕捉に不利な面がある。

D捕捉から攻撃までのラグタイムがより短くなるようモーションを見直す(特に最初のHPは極端に短くするか、なくする。不要なSETなどは除く)。

E今後も自律バトルに固執して改良を継続する。


6.ハイブリッドセンサーシステムのセンシングプログラムの改良

「BLACK TIGER NEO」のハイブリッドセンサーシステムは@PSDセンサーを前後左右の4方向に、超音波センサーを前後左右の4方向に配置し、2種のセンサーでセンシングするハイブリッド方式としている。Aまた、照明環境による誤作動を防止すべく、PSDセンサーを先にセンシングするPSD優先と超音波センサーを先にセンシングする超音波優先の2種のセンシングプログラムを設定して対応してきた。また、B攻撃モーションの多様化のため、センシング範囲を距離によって近接、中接と分けて設定してきた。

以上のハイブリッドセンサーシステムは、移動しない目標については、捕捉能力が高く、「Robot Japan 1st」の一発芸部門における自律演技では500mlペットボトルの太さの目標4本を認識して倒し優勝を果たした。ただ、ロボットバトルにおいては、対戦機体の捕捉能力が低く、攻撃能力が発揮できずに敗退している。

第6回KONDO CUP(2011.8.27)のオープンクラスとエキシビジョンクラスに自律で参加したが、結果は以下のとおり。

オープンクラス1回戦(第6試合)で「Cavalier」と対戦。3ダウンで敗退。エキシビジョンクラスの第13試合の敗者復活戦へ



エキシビジョンクラス(第13試合)でオープンクラス(第7試合)の敗者「コアα」と対戦。善戦してダウンを奪い、2-2で延長戦に突入したが、投げられて敗退。



捕捉能力が低い原因として、@対戦する機体が大型化して脚部分がリンク構造となり、センサーが捕捉する部分がすかすかの捕捉しづらい脚構造となっていること、しかも、A目標が移動することなどが考えられる。

(1)捕捉能力を向上させる方法

捕捉能力の向上方法としては、以前まで行ってきたセンサーを増設する方法があるが、超音波センサーは干渉が起こるため、4方向までが限界と考えられること、PSDセンサーも同方向に並べると干渉して感度が低下すると考えられることから、センサーの個数を増やすことによる捕捉能力の向上は期待できないことが明らかとなっている。したがって、さらなるセンシングプログラムの改良によって捕捉能の向上を試行することとした。

センシング方法としては、機体前後左右の4つのセンサーを次々にセンシングして、近接から中接、捕捉と渦巻き型にセンシングする方法をとっている。かつて、1つのセンサーについて近接、中接、捕捉の順にセンシングしてから、次のセンサーで、近接、中接、捕捉とセンシングする放射線型のセンシングを試行したことがあるが、渦巻き型の方がセンシング方法として良好な結果が得られている。

また、ハイブリッドセンシング方法も、超音波センサー優先では、超音波センサーで近接、中接、捕捉と渦巻き型にセンシングしてから、PSDセンサーで近接、中接、捕捉と渦巻き型にセンシングする、センサー別に行う二重センシング方式により行っている。近接で超音波とPSD、中接で超音波とPSD、捕捉で超音波とPSDで渦巻き型にミックスセンシングする方法も試行したが、センサー別のセンシングと明確な優劣の違いを見出していない。

1)近接、中接については、センシングの回数を複数回(2回)に増やす。捕捉(接近モーション)は、バトルでは相手が接近してくるので強化する必要がなく従来どおり。

2)超音波優先とPSD優先について、優先の方を複数回(2回)にしてみる。

3)近接のセンシング範囲は同じにするが、中接のセンシング範囲を近接を含めた広い範囲に設定する(これにより近接を2回にしたのと同じ効果が得られる)。

1)〜3)を組み合わせてセンシングプログラムを試行する。懸念事項として、センシングの複数回化により、センシングのワンサイクルが長くなりすぎてかえって捕捉能が低下することが考えられる。したがって、複数回化は2回位が限度かもしれない。

一方、バトル以外のビーチフラッグなどでは、複数回化により、探索能の向上が期待できる。

(2)センサールールの検討(数字は回数、Wは広範囲(近接+中接)のWideの意味)。

1)第1段として、中接は近接も含めた広範囲をセンシングする(これにより近接2回に近いセンシングになる)。超音波、PSD優先それぞれに作成。これはセンシング範囲の修正のみで容易に可能(重くもならない):「超音波優先中接W」「PSD優先中接W」。

2)第1.5段階として、近接は中接も含めた広範囲をセンシングする。また、中接も近接を含めた広範囲をセンシングする。これもセンシング範囲の修正のみで容易に可能(重くもならない):「超音波優先近接W中接W」「PSD優先近接W中接W」、これらは実質「超音波優先(近+中)接2」「PSD優先(近+中)接2」と同じ。ただし、攻撃モーションはそのまま近接用と中接用を残しておく。これは試してみる価値あり。

3)第2段として、近接を1サイクルのままとして、中接は近接も含めた広範囲をセンシングするが、2サイクルとする:「超音波優先近接1中接W2」「PSD優先近接1中接W2」。攻撃強化のセンシングと考えられる。

4)第2.5段として、近接を中接を含めた広範囲センシングとする。また、中接は近接も含めた広範囲センシングとするが、2サイクルとする。:「超音波優先近接W1中接W2」「PSD優先近接W1中接W2」、これらは実質「超音波優先(近+中)接3」「PSD優先(近+中)接3」と同じ。ただし、攻撃モーションはそのまま近接用と中接用を残しておく。

5)第3段として、優先センサーについてのみ、近接を2サイクル、中接は近接も含めた広範囲をセンシングする。:「超音波優先超音波近接2中接W1」「PSD優先PSD近接2中接W1」。防御強化のセンシングと考えられる。

6)第4段として、超音波センサーとPSDセンサーの2種のセンサーで、近接は2サイクル、中接も近接を含めた広範囲センシングで2サイクル。それぞれの優先を作成。おもくなりすぎないか?:超音波優先近接2中接W2、PSD優先オ近接2中接W2」。

(3)センサールールの製作

上記(2)2)が@センシングセンシング範囲の修正のみで容易に可能で、A重くもならないとこと、またB複数回(2回)センシングを実施したことと同じ効果が得られと考えられることなどから作成することした。(Wは広範囲(近接+中接)のWideの意味)。

上記により新自律バトルハイブリッドセンサーシステム:P4U4とU4P4の改良を行った。
PSD 近接 1800〜4095 ⇒ 1200〜4095
PSD 中接 1200〜1799 ⇒ 1200〜4095
PSD 捕捉 500〜1199
PSD 探索 0〜499
USS 近接 0〜50 ⇒ 0〜65
USS 中接 51〜65 ⇒ 0〜65
USS 捕捉 66〜90
USS 探索 −−−
PSDセンサー優先優先:P4U4 ⇒ P4WU4W
超音波センサー優先:U4P4 ⇒ U4WP4W


(4)センサールールの実戦結果

第8回KONDO BATTLE(2011.9.23)において実戦試験を行った。前回の反省から今回は、センサーの設定範囲を近接と中接に分けていたのを近接+中接のワイドレンジとして、これを2回センシングするセンサールールに改修した。また、PSD優先と超音波優先を作成した。試合には超音波優先(U4WP4W)を使用した。

結果: オープンクラス1回戦(第1試合)で「ガッテンダー」と対戦。3ダウンで敗退した。



@センサーの感知能が明らかに向上した。目標は適切に捕捉して攻撃している。前回はPSD優先としたが、今回の超音波優先の方が実戦に向くかも知れない。
A2回センシングしているが、1回目でほぼ捕捉している(近接の攻撃モーションが動作していた)。1回目のセンシングの中接の攻撃モーション、2回目のセンシングに近接の攻撃モーションを入れた方が良いかもしれない。


7.ハイブリッドセンサーシステムのセンシングプログラムの改良(その2)

「第8回KONDO BATTLE」における改良ハイブリッドセンサールールの検証の結果、「2回センシングしているが、1回目でほぼ捕捉している(近接の攻撃モーションが動作していた)。1回目のセンシングの中接の攻撃モーション、2回目のセンシングに近接の攻撃モーションを入れた方が良いかもしれない。」から、センサールールの改修を実施し、PSD優先の「P4RU4R」と超音波優先「U4RP4R」を作成した。

PSD:近中接(1200〜4095)1回目の攻撃モーションは中接用、ただし前後は中接用+近接用、近中接(1200〜4095)2回目の攻撃モーションは近接用
USS:近中接(0〜65)1回目の攻撃モーションは中接用、ただし前後は中接用+近接用、近中接(0〜65)2回目の攻撃モーションは近接用

ROBO-ONE 19(2011.10.9)における実戦試験

本選では「滝恋次郎」と対戦の予定が、「BIMA」との対戦に変更となった。自律バトル機の欠点をうまくついたそつのない攻撃を受け、3ノックダウンで完敗、1回戦敗退に終わった。センシングがまだまだ甘い。ROBO-ONE一線級の操縦ロボットに自律で勝つのは容易ではない。やはりこれが実力、とはいえ、トーナメントの枠順にも恵まれていない。毎回公式戦ではかなり強い機体に当たっている(第14回の1回戦はレグホーンに完敗)。





自律バトルの反省と今後の課題、改良

1)超音波優先で臨んだが、照明の影響も受けずに、誤作動はほとんどなし。練習の時も誤作動なく動作していた。超音波優先センサープログラムとPSDセンサーの上のカバーが効いている。
2)センシングの欠点を見極めるためにも、もう少し練習試合をしておくべき。
3)センシングのレンジをもう少し検討する必要がある。
4)リーチの長い機体にやられた。「BT-NEO」はリーチが短い。⇒機体を大型化する方法もあるが、センシングでカバーする。
5)リーチの長い機体を感知しなかった。⇒もうすこし、中近接のレンジを広くするか?
6)モーションの工夫が必要⇒下から持ち上げるモーションを各攻撃モーションに追加しておくべき。
7)モーションの工夫が必要⇒中近接でひとたび捕捉したら攻撃モーションを連続して3つ以上続ける。攻撃は最大の防御。数撃ちゃ当たるか?
8)探索旋回モーションの動作後に、姿勢が不安定になることがある⇒モーション終了時のHPポジションのスピードを若干長くすべきか?


8.ハイブリッドセンサーシステムのセンシングプログラムの改良(その3)

ROBO-ONE19の検討から、攻撃を受けないように攻撃感知距離を長くする(30cm⇒40cm)こととし、センサールールにおけるPSDと超音波センサーの距離の設定値の変更を行った

○従来の設定値:中接の攻撃距離を30cmに設定
PSD:近距離ほどセンサー値が大きい
・近接1800〜4095
・中接(30cm)1200〜1799
・捕捉500〜1199
・探索0〜499
USS:近距離ほどセンサー値が小さい
・近接0〜50
・中接(30cm)51〜65
・捕捉66〜90

○設定値の変更:近中接の攻撃距離を40cmに設定
PSD:近距離ほどセンサー値が大きい
・近中接(40cm)900〜4095
・捕捉500〜899
・探索0〜499
USS:近距離ほどセンサー値が小さい
近中接(40cm)0〜120
捕捉121〜150

PSDセンサー優先を「P4WLRU4WLR」、超音波優先を「U4WLRP4WLR」として作成した。

ロボット大会@第58回理工展(2011.11.5)における実戦試験

ロボットバトルでは1回戦にモンテローギュと対戦した。「BT-NEO」は今回、感知レンジを拡大したセンサールール(PSD優先P4WLRU4WLR)を搭載した。また、自律バトルのスタートは、対戦相手が前方に接近したときにPSD(1800)が感知してスタートするように設定し、攻撃は自律で、リングの端に移動した場合には落下を避けるために中央に戻す動作のみを無線コントロールを行った。実際は1回中央に移動させたのみで、攻撃の回避動作は行わなず、基本的には自律バトルで行った。自律動作はまずまずであったが、3ノックダウンで完敗。



自律バトルの反省と今後の課題、改良

1)PSD優先で臨んだが、前回よりも対戦相手の捕捉ができていた。PSDは照明の影響を受けていなかった模様。ただ、超音波センサーによると思われる誤作動が見受けられた。
2)超音波センサーのセンシングの感度を低くして、誤作動を防止する。

@最初の設定
・近接0〜50
・中接(30cm)51〜65
・捕捉66〜90
   ↓
A今回の設定
・近中接(40cm)0〜120
・捕捉121〜150
   ↓
Bセンシング感度の変更
・近中接(40cm)0〜90
・捕捉91〜120


9.ハイブリッドセンサーシステムのセンシングプログラムの改良(その4)

新自律ハイブリッドセンサーシステムの改良
2011.11.5理工科展における自律バトルの反省と今後の課題、改良は以下のとおり
1)PSD優先で臨んだが、前回よりも対戦相手の捕捉ができていた。PSDは照明の影響を受けていなかった模様。ただ、超音波センサーによると思われる誤作動が見受けられた。
2)超音波センサーのセンシングの感度を低くして、誤作動を防止する。

@最初の設定(2011.11.9 ROBO-ONE 19)
・近接0〜50
・中接(30cm)51〜65
・捕捉66〜90
   ↓
A今回の設定(2011.11.5 理工科展)
・近中接(40cm)0〜120
・捕捉121〜150
   ↓
Bセンシング感度の変更(For ROBO-ONE 20)
・近中接(40cm)0〜90
・捕捉91〜120

PSD優先センサールールP4WU4W
PSD:近中接 900〜4095、捕捉 500〜899、探索 0〜499
USS:近中接 0〜90、捕捉 91〜120

USS優先センサールールU4WP4W
PSD:近中接 900〜4095、捕捉 500〜899、探索 0〜499
USS:近中接 0〜90、捕捉 91〜120

3)次回のKONDOバトルは機体の移動はプロポ操縦、攻撃は自律システムにする方針にしたので、スタート方式を追加することとした。

2012/2/5に作成した改良自律バトルセンサーシステム(For ROBO-ONE20)のスタート方式は@PSD2個とAUSS2個により手をかざす方法としていたが、それに加えてBNo.29PSD(1800〜4095)による前方感知により正拳右モーションを動作してスタートする方法を追加した。これにより、スタート時にプロポで操縦して相手に接近すると感知して自律システムがスタートすることが可能になる。

第10回KONDO BATTLE(2012.3.3)における実戦試

「BLACK TIGER NEO」はこれまで自律バトルで臨んできたが、今回攻撃は自律によることとし、移動はプロポでの操縦とした。

第4試合オープンクラス1回戦:BLACK TIGER NEO vs ガーゴイル・ミニ
3ノックダウンで完敗。


第21試合オープンクラス 裏トーナメント準決勝:で・かーる vs BLACK TIGER NEO
3ノックダウンで完勝。


第26試合オープンクラス 裏トーナメント決勝:BLACK TIGER NEO vs クロムキッド
3ノックダウンで完敗。


第10回KONDO BATTLE総括と今後の方針

(1) 攻撃は自律で、移動はプロポ、としたが、1勝2敗のまずまずの結果。大型の脚が長い機体「ガーゴイル・ミニ」や「クロムキッド」はやはりセンサーによる捕捉が難しいことが改めて分かった。脚が細くしかも間隙があるので特にPSDでは捕捉が難しい。一方、機体の体高を低くして戦う「で・かーる」については完全に捕捉出来ていた。1回目のスキャンで捕捉しているので、近接の攻撃モーションが動作していたが、これも効果的であった。

(2) 誤作動が幾分みられたが、超音波センサーによるものと考えれられる。また、取材のカメラを感知しての攻撃やレフリーへの攻撃もあったが、これは正常な感知によるもの。

(3) 今回のPSD優先のセンサールールによる自律バトルは、体高の低い中型機体には十分対戦可能であることが分かった。センサーによる捕捉と攻撃モーションも有効であった。一方、PSD優先では体高のある脚の長い機体は捕捉が難しことが分かった。超音波センサー優先のセンサールールの方がよいかもしれない。次回はこれを使い分けてみるのも一考。また、大型機への攻撃モーションの工夫も必要である。

(4) プロポでの移動であるが、いかに攻撃を受けにくい位置(相手機体の正面)に移動するかがポイントであることが分かった。BT−NEOは正面からの攻撃モーションを備えているのでこれを有効に使用するためにも、正面への移動を工夫すべき。

(5) プロポ上のモーション配置を単純にする必要がある。ROBO-ONE一戦級機体でもモーションは前後左右移動旋回と単純な攻撃のみにしており、シフトは使用していないとのこと。プロポのモーション配置の再構成が必要。

(6) BT-NEOでは大型機には対抗できないことが以前から明らかになっているので、大型機の製作を検討。


10.ハイブリッドセンサーシステムのセンシングプログラムの改良(その5)

「ROBO-ONE 20」では第10回KONDO BATTLE(2012.3.3)と同じく、機体の移動はプロポ操縦、攻撃は自律システムにすることとした。そのため、セミ自律バトル用にプロポのモーション配置を変更した。従来はSHIFT1の右部分に配置してあった攻撃モーションを、SHFT0の右部分に再配置した。

従来はサッカーモーションをSHIFT1の右部分に配置してあったが、65535を入れて動作しないようにした。これだと簡単に元に戻せる。

ROBO-ONE 20 (2012.3.25)における実戦試験

1回戦第7試合で竜鬼U-Oと対戦。「BLACK TIGER NEO」は今回は完全自律バトルにこだわらず、移動は操縦で、攻撃は自律によることとした。照明は天井に2個の大きなフィラメントタイプのライト2個があったので、センサールールは超音波センサー優先とした。

超音波優先としたことと、防御的意味もありセンサーの範囲を大きくしているので距離がうまく合っておらず、攻撃がヒットしない。腕をやはり伸長すべきかもしれない。1−0で惜敗した。



ROBO-ONE 20 の総括

@今回は完全自律バトルにこだわらず、移動は操縦で、攻撃は自律によることとした。⇒やはり現段階の自律バトルシステムでは、この方式がベタ―かもしれない。
A照明は天井に2個の大きなフィラメントタイプのライト2個があったので、センサールールは超音波センサー優先とした。⇒超音波優先としたことと、防御的意味もありセンサーの範囲を大きくしているので距離がうまく合っておらず、攻撃がヒットしない。⇒腕をやはり伸長すべきかもしれない。
B機体の大型化に対応するために、腕を30pにまで伸長する必要がある。また、センサーの取り付け位置を再検討する。
C転倒、捕捉、探索のセンシングは行わず、移動は操縦で行う。自律は攻撃のみとすべき。これによりセンシングが効率化される。


11.今後の方針

「BLACK TIGER NEO」はハイブリッドセンサーシステムを搭載した自律バトル機として自律バトル機能の向上を図ってきたが、製作当初の構造を踏襲しているため腕のリーチが短く、最近のROBO-ONE規格の大型機体との対戦にハンディが目立つようになった。

また、ハイブリッドセンサーシステムにも、センサー取り付け位置による大型機体の感知・捕捉の限界、ラグタイムの問題などがあり、特にプロポ操縦の大型機体との対戦には不向きな面があった。

これら「BLACK TIGER NEO」の問題点を解消するために、以下のコンセプトで改造することとした。

@腕を伸長するとともに、A従来の完全自律バトルシステムに加え、B自律攻撃システムを補助攻撃システムとして備えプロポ操縦と自律バトルシステムが相互に補完するセミ自律バトルシステムを備える機体とする。


「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 1」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 2」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 3」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 4」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 5」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 6」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 7」
「マイロボット BLACK TIGER NEO の製作 Part 9」


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