マイロボット「KHR-1」の改造

ヒト型二足歩行ロボットキット「KHR-1」は2004年6月に近藤科学から発売された。8月に「KHR-1」を購入してロボット製作をはじめた。KHR-1には様々なオプションパーツが発売されたが、すべて入手してKHR-1に搭載してKHR-1を改造を試みてきた。これがKHR-1をベースとした「BLACK TIGER」となり「BLACK TIGER NEO」「BLACK TIGER ZETA」の製作へと続いている。

ここには無線ユニットはじめオプションパーツの搭載、ジャイロ等センサーの搭載、HV化、KRS2350HVの換装、LEDHeadを搭載など「BLACK TIGER 」に至るまでの経過をまとめた。

(1)無線ユニットの搭載(2004.8)

(2)ジャイロセンサーKRG-2の搭載(2005.4)

(3)拡張4自由度ユニットの搭載(2005.4)

無線ユニットでモーションをチェックした。前進、後退、早足、駆け足、横移動などは支障なし。後転、腕立て伏せも支障なし。上向きからの起き上がりやうつ伏せからの起き上がりなどは不調(重心の移動のため)。側転も足が開いて不可(重量が増加しているためと推察)。モーションの調整が必要と考えられる。

「拡張4自由度ユニット」を搭載してみたが、評価は以下のとおり
@サーボが45gx4個で180gの重量増加により全体的に動きが遅くなるようだ。
A電池の消耗が早い。
B安定性については、足元にサーボ2個が加わるので安定が増すが、腕にサーボ2個が加わり上半身に重量が加わるので、変わらないか、若干悪化すると思われる。全体的なバランスは悪化するのではないか。
Cモーションの再調整が必要。

以上の評価から、@安定性については、ジャイロを搭載したので増加しており十分であること。A機動性を考えると重量の増加は負担となること(側転が容易でない)、B電池の持続時間を保つ。C既存のモーションの調整よりも新たなモーション作成に注力した方が効率がよい、などを勘案して「拡張4自由度ユニット」の搭載を中止することとした。せっかくここまでやったが、分解と組み立ての腕は上がった。写真は以下に掲載した。(2005.514)

(4)ショルダーサポーターの搭載(2005.5)

(5)サーボモーターのギヤ交換(2005.5)

(6)スイッチング電源(6V)の採用(2005.7)

(7)センサーコントローラーRSC-1と加速度センサーRAS-1の搭載(2005.7)

加速度センサーを取り付けての、自動起き上がりを作動させた。確かに傾きを感知して、センサーが作動してモーションにスイッチが入った。ただ、作動させるモーションが、例えば起き上がりのモーションがうまく働かずに立ち上れないと、ループになって何回も繰り返して抜け出せなくなるおそれがある。実際に電池が消耗して来て立ち上がれないと、同じ起き上がりを繰り返すだけになる。

加速度センサーによる自動起き上がりには、ループに入って抜け出せなくなるリスクを考えると、それほど魅力はない。倒れた状態を見計らって、適当な起き上がりモーションをその時点で作動させた方がよい。

今回、加速度センサーの取り外し、設置が容易なように、延長コードで外へ配線を導いた。必要に応じて加速度センサーの利用を考えよう。

また、今回の加速度センサーの搭載で、センサーの使い方、コントロールの仕方、RSC-1センサーコントロールボードの使用法が理解できた。今後、加速度センサー以外のセンサーの搭載を考えたい。

(8)旋回軸ユニットの搭載(2005.7)

オフセットアームAのCH15とCH21のサーボへの搭載によってうつ伏せからの起き上がりは成功したので、すべてのモーションを再度導入して動作をチェックした。

結果は、試験したうつ伏せからのモーションのみで動作がうまくはたらくだけで、他のモーションでは起き上がりに成功しなかった。

うつ伏せからの起き上がりのモーションの入ったものは修正することができたが、上向けからの起き上がりは不可能であった。理由は、やはり足の部分のサーボの力不足で、旋回軸を搭載した上半身の重量を持ち上げられないこと。どのようにモーションを工夫しても難しいことが分かった。

旋回軸付のモーションについては、近日、公開が予定されているとのこと。当面はその情報をみて以後どうするか判断したい。とりあえず写真には残すこととした。(2005.8.14)

旋回軸ユニット、オフセットアームなど追加ユニット、部品を撤去して、オリジナルのKHR-1にもどした。軽快に作動する。やはりオリジナルがバランスがとれている。運動性も高い。(2005・8.20)

(9)オフセットアームAの取り付け(2005.8)

側転のモーションの修正をあきらめた。腕が下がっている分、起き上がるときに手が短く、重心の移動が難しい。オフセットアームを腕に取り付けて、モーションの修正を行ったが、側転以外はすべて成功した。モーション作成の要領が分かってきた。今後はノーマルのKHR-1に戻すこととした。(2005.10.29)

(10)直流安定化電源:DM-330MV(KHR-1HV化対応)の採用(2005.10)

(11)KRS-788HV化と旋回軸ユニット搭載(2005.11)

KHR-1 HV コンバージョンキットを入手した。目的は以下のとおり。@ノーマルでは操作不能であった「旋回軸ユニット」をHVで操作する(このためKRS788HVを1個追加入手した)。Aコンバージョンキットで置換したサーボ17個、RCB-1(ノーマル)、KHR-1の胴体パーツと保有しているオプションパーツ等(「拡張4自由度ユニット」、「KHR-1ボディパーツキット」(KRS-2350ICS用:ROBO-1 Technical Conference 6で配布)、オフセットアームA、予備サーボKRS-784/786ICS 9個)を組み合わせてKHR-1をベースとしたオリジナルロボット(マイロボットIKT-1の製作 を参照)を1体作成する。胴体部分はKHR-1本体が利用可能なので、あとは腕と足の組み立てがポイントとなる。

(12)KRS-2350HV換装と腕変則3軸搭載(2006.1)

これでとりあえず計画していたKRS2350HV化が完了した。あとはモーションを工夫すること。ゆとりがあれは膝(CH15,CH21)が2350HV化できればよいがきりがない。電池の容量なども考えなければならない。

現在のKHR-1のサーボはKRS788HVが12個、KR2350HVが6個の計18軸(頭のサーボは通電していない)であるが、ニッケル水素バッテリーROBOパワーセルHV Cタイプ 10.8V(9セル)300mAhでは12〜15分間、Dタイプ10.8V(9セル)800mAhでは25〜30分間は動作可能であった。これ以上、2350HV化しなければ、充電池の持続時間は十分確保できる。

(13)LED搭載HEADの製作(2006.4)

オリジナルロボットで一番重要なのはロボットの顔、頭部の設計、顔が命である。特徴的な顔がないとオリジナルロボットのIdentityが確立できない。LED HEADの製作で配慮した点は、ロボットらしいHEADであること、LEDを使用すること、胴体に堅固に取り付け可能で丈夫なことなど、その結果できあがったのが、自転車用LEDライトをベースに製作したLED HEAD。

LEDの眼を1つにしたことでロボットらしくなった。また、自転車用ライトは安価なのでLEDの色を変えたもの4種を製作して状況に応じてLEDの色を取り換えられるようにした。このオリジナルLEDHEADと、変則3軸の腕構造、HV化しKRS-2350HVへ換装した機体を組み合わせることにより「BLACK TIGER」の完成につながっている。